2022年から全国で発生している同一グループによる広域連続強盗事件の実行犯たちは、SNSでの闇バイト募集をきっかに犯行に及んだ。闇バイトには10代後半から30代の若者たちが応募し、犯罪に加担したことがわかっている。なぜ若者たちはSNSにおける闇バイトに応募してしまうのか。SNSにおける事件とトラブル実態に詳しい成蹊大学客員教授でITジャーナリストの高橋暁子さんに聞いた。
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広域連続強盗事件の実行犯たちが闇バイトに応募したのは、フィリピンから強制送還された「ルフィ」とみられる指示役が率いるグループのSNS募集がきっかけだったと言われている。
応募後は、一定時間を過ぎると自動的に投稿が削除される機能のあるメッセージアプリ「テレグラム」でメッセージのやり取りがされた。テレグラムは匿名性が高く、特殊詐欺のやり取りの多くで使われている。
テレグラムは削除された内容を復元しづらいという特徴があるが、一部未読のメッセージがあったため解析が可能に。今回の事件では、やり取りの履歴がすべて出たと言われており、復元できる可能性が高いようだ。
実行犯たちは、民家に押し入って住民に暴行を加え、金品を奪っている。グループは、2018年11月から2020年6月までで約2300件の特殊詐欺事件に関わり、被害額は60億円以上に上る。
なぜ若者たちは闇バイトに応募してしまったのだろうか。
求人サイトではなくSNSでバイト探し
闇バイトでは「オレオレ詐欺」の受け子や出し子、違法薬物や口座の売買、強盗や殺人などが募集される。
「#受け」(※受け子)「#出し」(※出し子)「#タタキ」(※強盗)などとつけて、「#高収入」「#高額バイト」「#即日」などをうたい募集されることが多い。中には具体的な仕事の中身は明かさずに募集されているものもある。「家出」「借金」などの単語や人気のアニメ名などの検索されやすい文言を添えて、投稿の露出を増やす工夫も忘れない。
大人の感覚では、バイトを探す際にはバイト求人サイトなどを調べるものだろう。しかし、「何かを探したい時はSNSを検索する」という若者は多いため、このような投稿を目にする機会も多くなる。その結果、高収入に釣られ、仕事の中身もよくわからないままに応募してしまう若者もいるのだ。