警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、闇バイトで集められた者たちが集まる拠点「ハコ」で起きていることについて。
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特殊詐欺の被害が止まらない。令和4年の被害額は約360億円にものぼるという。警察が騙されないよう警告し、啓蒙活動を行っても、詐欺グループに騙される高齢者は後を絶たない。またお金欲しさに闇バイトに手を出してしまう人も後を絶たないが、中には悲惨な最期を遂げてしまう者もいるらしい。
「自分が知っていたハコで、以前、ビルの屋上から飛び降りた者がいた」と語るのは、暴力団の元組員だ。特殊詐欺グループの拠点となるハコ(※建物やマンションの一室など)で、何度か”かけ子”としてアポ電をした過去を持つ。
彼が仕事をしていたのはある雑居ビルの一室で、仕切っていたのは半グレ数人。闇バイトといっても、彼のような経験者の場合は、自分から募集しなくても向こうから声がかかるという。「部屋には机と椅子と電話がいくつも並び、飲み物は自由に取れるようになっていた」。
それでも初めてかけ子のバイトを始めた時は、「へぇー」と思うことがあったと話す。初日に行われたハコのスタッフによる研修では、かけ子が何をやるのか、どのように電話をかけるのか、一通りの説明の後、聞かされたのはオレオレ詐欺のルーツという話だ。
「本当かどうかわからないが、オレオレ詐欺のルーツは中国で、地方の街や村にまだ電話がある家が少なかった頃らしい。電話がある家は金持ちと相場が決まっているから、そこに電話して息子や娘、孫に成りすまして金を奪っていたと聞いた」
ありえそうな話に元組員は、「最初にこれを考え付いたヤツはヤバい」と思ったそうだ。
かけ子としての仕事時間は朝8時から夜まで、一度ハコに入ってしまえば最低でも1週間は出られない。「ビルの中に缶詰状態だ。食事するも寝るのもビルの中。1日中、渡された名簿にひたすら電話をかけまくる」
かなり厳しい状況に置かれていたが、暴力団の組員として生活していたことがある元組員には、こちらが思うほどしんどい毎日ではなかったようだ。
「それよりきついのはノルマだ。かけ子には一人一人、毎日何百万円というノルマが課される。目標金額を達成できるかどうかは、トーク能力にかかっている。かけ子にはこれが一番大事だ」