国内

「ハコ」に集められた闇バイト応募者たち ノルマを達成できないとどうなるのか…精神的に追い詰められる実態

フィリピンだけでなくタイにも「ハコ」。2022年12月11日、タイ・バンコクで、日本人詐欺グループとみられる男らの拠点を捜索する警官[タイ警察提供](時事通信フォト)

フィリピンだけでなくタイにも「ハコ」。2022年12月11日、タイ・バンコクで、日本人詐欺グループとみられる男らの拠点を捜索する警官[タイ警察提供](時事通信フォト)

 警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、闇バイトで集められた者たちが集まる拠点「ハコ」で起きていることについて。

 * * *
 特殊詐欺の被害が止まらない。令和4年の被害額は約360億円にものぼるという。警察が騙されないよう警告し、啓蒙活動を行っても、詐欺グループに騙される高齢者は後を絶たない。またお金欲しさに闇バイトに手を出してしまう人も後を絶たないが、中には悲惨な最期を遂げてしまう者もいるらしい。

「自分が知っていたハコで、以前、ビルの屋上から飛び降りた者がいた」と語るのは、暴力団の元組員だ。特殊詐欺グループの拠点となるハコ(※建物やマンションの一室など)で、何度か”かけ子”としてアポ電をした過去を持つ。

彼が仕事をしていたのはある雑居ビルの一室で、仕切っていたのは半グレ数人。闇バイトといっても、彼のような経験者の場合は、自分から募集しなくても向こうから声がかかるという。「部屋には机と椅子と電話がいくつも並び、飲み物は自由に取れるようになっていた」。

それでも初めてかけ子のバイトを始めた時は、「へぇー」と思うことがあったと話す。初日に行われたハコのスタッフによる研修では、かけ子が何をやるのか、どのように電話をかけるのか、一通りの説明の後、聞かされたのはオレオレ詐欺のルーツという話だ。

「本当かどうかわからないが、オレオレ詐欺のルーツは中国で、地方の街や村にまだ電話がある家が少なかった頃らしい。電話がある家は金持ちと相場が決まっているから、そこに電話して息子や娘、孫に成りすまして金を奪っていたと聞いた」

 ありえそうな話に元組員は、「最初にこれを考え付いたヤツはヤバい」と思ったそうだ。

 かけ子としての仕事時間は朝8時から夜まで、一度ハコに入ってしまえば最低でも1週間は出られない。「ビルの中に缶詰状態だ。食事するも寝るのもビルの中。1日中、渡された名簿にひたすら電話をかけまくる」

 かなり厳しい状況に置かれていたが、暴力団の組員として生活していたことがある元組員には、こちらが思うほどしんどい毎日ではなかったようだ。

「それよりきついのはノルマだ。かけ子には一人一人、毎日何百万円というノルマが課される。目標金額を達成できるかどうかは、トーク能力にかかっている。かけ子にはこれが一番大事だ」

関連キーワード

関連記事

トピックス

不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《スクショがない…》田中圭と永野芽郁、不倫の“決定的証拠”となるはずのLINE画像が公開されない理由
NEWSポストセブン
多忙の中、子育てに向き合っている城島
《幸せ姿》TOKIO城島茂(54)が街中で見せたリーダーでも社長でもない“パパとしての顔”と、自宅で「嫁」「姑」と立ち向かう“困難”
NEWSポストセブン
小室圭さんの“イクメン化”を後押しする職場環境とは…?
《眞子さんのゆったりすぎるコートにマタニティ説浮上》小室圭さんの“イクメン”化待ったなし 勤務先の育休制度は「アメリカでは破格の待遇」
NEWSポストセブン
女性アイドルグループ・道玄坂69
女性アイドルグループ「道玄坂69」がメンバーの性被害を告発 “薬物のようなものを使用”加害者とされる有名ナンパ師が反論
NEWSポストセブン
遺体には電気ショックによる骨折、擦り傷などもみられた(Instagramより現在は削除済み)
《ロシア勾留中に死亡》「脳や眼球が摘出されていた」「電気ショックの火傷も…」行方不明のウクライナ女性記者(27)、返還された遺体に“激しい拷問の痕”
NEWSポストセブン
当時のスイカ頭とテンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《“テンテン”のイメージが強すぎて…》キョンシー映画『幽幻道士』で一世風靡した天才子役の苦悩、女優復帰に立ちはだかった“かつての自分”と決別した理由「テンテン改名に未練はありません」
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
《ヤクザの“ドン”の葬儀》六代目山口組・司忍組長や「分裂抗争キーマン」ら大物ヤクザが稲川会・清田総裁の弔問に…「暴対法下の組葬のリアル」
NEWSポストセブン
1970~1990年代にかけてワイドショーで活躍した東海林さんは、御年90歳
《主人じゃなかったら“リポーターの東海林のり子”はいなかった》7年前に看取った夫「定年後に患ったアルコール依存症の闘病生活」子どものお弁当作りや家事を支えてくれて
NEWSポストセブン
テンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《キョンシーブーム『幽幻道士』美少女子役テンテンの現在》7歳で挑んだ「チビクロとのキスシーン」の本音、キョンシーの“棺”が寝床だった過酷撮影
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚することがわかった
女優・趣里の結婚相手は“結婚詐欺疑惑”BE:FIRST三山凌輝、父の水谷豊が娘に求める「恋愛のかたち」
NEWSポストセブン
タレントで医師の西川史子。SNSは1年3ヶ月間更新されていない(写真は2009年)
《脳出血で活動休止中・西川史子の現在》昨年末に「1億円マンション売却」、勤務先クリニックは休職、SNS投稿はストップ…復帰を目指して万全の体制でリハビリ
NEWSポストセブン
太田基裕に恋人が発覚(左:SNSより)
人気2.5次元俳優・太田基裕(38)が元国民的アイドルと“真剣同棲愛”「2人は絶妙な距離を空けて歩いていました」《プロアイドルならではの隠密デート》
NEWSポストセブン