盛り上がりを見せるWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)。選手たちは大会が終われば各球団でシーズンを迎える。はたして“アフターWBC”の日本野球界はどういった展望に。4人の現役記者がタブーなしで語り尽くす!【全3回の第3回。第1回から読む】
村上の暗い顔
スポーツ紙デスクD:WBCの盛り上がりは大いに結構だが、問題はシーズンだよな。WBCみたいな国際大会の後は、選手たちが疲労によってペナントで個人成績を落とすというデータもあるからね。
在阪スポーツ紙デスクA:阪神・岡田(彰布)監督が大阪で開催された早稲田大のOB会に出席して、「この時期に試合に出ていないベンチの選手が心配や。阪神も中野(拓夢、26)や湯浅(京己、23)の出番がない」と話していた。中野は西武・源田(壮亮、30)が右手小指を骨折したことからショートでの出場機会が巡ってきたが、今年からセカンドにコンバートさせる予定だけに岡田監督としても不安だろうな。
スポーツ紙記者C:個別の選手で言うと、ヤクルト・村上(宗隆、23)や西武・山川(穂高、31)が心配です。1次ラウンドで打撃不振だった村上は自信を失っているように感じる。同じパワーヒッターの大谷が目の前であれだけ打てば焦りがあると思います。ミックスゾーンですれ違う時、声をかけるのがはばかられるほど表情が暗かった。
山川は侍ジャパンで試合に出ていなくてもベンチで常に声を張り上げてチームを盛り上げていますが、試合に出たり出なかったりなので、実戦感覚を養うのが難しい。好不調の波が激しいので、今年はエンジンがかかるのが遅いかもしれない。
デスクD:主力選手の調子がチームの命運を大きく左右するけど、俺は特にロッテが心配だな。吉井(理人)監督が投手コーチとしてWBCに帯同しているが、3月31日からソフトバンクとの開幕3連戦が始まることを考えると、ロッテで過ごす時間があまりにも足りていない。監督就任1年目にもかかわらず、1か月近く不在でチームの状況を見られない影響は大きい。開幕しても当面の間は手探り感があるはずだし、かなりの痛手になるんじゃないか。
在阪デスクA:その点で言えば、リーグ連覇をしたオリックスは山本(由伸、24)、宮城(大弥、21)、宇田川(優希、24)が自信をつけたようだし、追加招集されたセットアッパーの山崎颯一郎(24)も雰囲気だけでも良い経験になるだろう。西武からFA移籍した森友哉(27)はWBCを出場辞退してコンディションを整えている。良いかたちでシーズンに入れるんじゃないか。
デスクD:同じくセ・リーグで3連覇を狙うヤクルトだが、こちらは少し事情が変わってくる。村上、中村(悠平、32)、山田(哲人、30)、高橋(奎二、25)と攻守の要をWBCに出している。村上も山田も打撃が良い状態とは言えないだけに序盤は苦しみそう。
スポーツ紙記者B:今年のペナントレースは両リーグともに予想外の展開になるかもしれませんね。
(了。第1回から読む)
※週刊ポスト2023年3月31日号