年明けの初場所は実に125年ぶりとなる「1横綱1大関」の番付となったが、三月場所も同様の構図が続いている。しかも、横綱・照ノ富士は4場所連続休場。先場所優勝の大関・貴景勝が綱取りに挑むが、初日から小結・翔猿にはたき込みで敗れた。関脇の若隆景、豊昇龍も連敗スタートと波乱続きだ。
「現在の関脇、小結や前頭上位には、大関を目指すガチンコ力士がひしめき合っている。押し相撲の力士が多く、なかなか安定して勝ち続ける力士が出てこないため、今場所も千秋楽まで賜杯の行方はわからないのではないか」(担当記者)
そんな大荒れの土俵を賑わす幕内力士たち、その略歴からは「2つのグループ」の存在が浮かび上がる。貴景勝を筆頭とする「埼玉栄高グループ」と、照ノ富士が頂点の「モンゴル出身グループ」だ。ここでは、「埼玉栄高グループ」について紹介する。
初日から貴景勝に黒星をつけた翔猿も埼玉栄OB。他に番付上位には、小結の琴ノ若、大栄翔、前頭5枚目に琴勝峰、同7枚目の北勝富士らが名を連ねる。
「埼玉栄高グループは、山田道紀・監督を中心とした絆の強さが半端じゃない。活躍したOBは母校に差し入れするのが慣例で、先場所優勝した貴景勝もコメ10俵(600kg)を贈っている」(協会関係者)
貴景勝は大胸筋や膝のケガをした時に埼玉栄高のトレーナーを頼るなど、角界入りしてからも関係が深い。
「モンゴル出身力士を多数輩出する鳥取城北高とライバル関係にある埼玉栄高からは、これまで豪栄道(現・武隈親方)と貴景勝という大関2人が生まれているが、初の横綱誕生は悲願。ただ、貴乃花部屋の流れをくむ貴景勝はじめ、埼玉栄高グループはみんなガチンコ。綱取りのアシストなんて話にはならない。とはいえ、OB同士は正攻法での勝負になり、綱取りの貴景勝への奇襲・奇策の類はないでしょう。初日の翔猿との一番も、立ち合いから頭でぶつかる真っ向勝負でした」(同前)
※週刊ポスト2023年3月31日号