国内

人気芸人ラランド・ニシダが吠えた「人を傷つけないお笑いなんてない」「表現規制を求める風潮こそ恐ろしい」

お笑いについて語るニシダ

ネタをいっさい書かずに小説を出したニシダが、笑いや規制について語った

 お笑いコンビ「ラランド」でツッコミを担当するニシダは、文筆家の顔ももつ。「思春期の時に読んでいたら心酔していた」と、星野源を唸らせたその作風は、どこかほの暗く、ときには暴力的ですらある。彼は「人を傷つけない笑い」について思うところがあるという。

 * * *
 ラランドのネタはぜんぶ、相方(サーヤ)が書いています。芸人で小説を書く人は珍しくないけど、ネタをいっさい書かずに小説を出した芸人は、僕が初めてじゃないでしょうか。

 僕も昔はネタを書いていたんです。大学でお笑いサークルに入った後、ラランドだけじゃなくていろんなコンビを組んで、あるコンビでは仕切って、自分でネタも書いて。

 なんでいまはやっていないかっていったら、自分の一面がハッとわかった時期があったからです。僕、たぶん面白くないんですよ。コンビの中でバリバリ主導権を握って仕切ろうとしたり、自分のネタで引っ張ろうとしたりしても、誰も笑わなかった。

 残念だし、悲しいことですけど、仕方ないです。でも同時に、誰かに主導権を握ってもらっていじってもらえば、周りからは面白く見えるときがあるタイプなんだなってこともわかって。だから、相方とのバランスがいいラランドは続いています。

事件ルポなら人がショックを受けるようなことを書いていいのか

 この前も「いじられ向き」だって指摘を受けたんですよ。山口県の限界集落で起こった連続殺人事件を追うノンフィクション『つけびの村』著者の高橋ユキさんとの対談で、彼女に「ニシダさんは田舎に引っ越しても生き抜けるタイプかもしれない」と言われて。

「受け身の力」みたいなことですかね。たしかに田舎みたいな閉鎖的な空間では、いじる側(仕掛ける側)に立とうとするより、いじられる側で力を発揮できる新参者のほうが受け入れられやすいのかもしれません。僕なんか、ラランドではツッコミなのに、ボケ的に扱われていたりもするし。

『つけびの村』の構造は、純文学に近いのかな。事件ノンフィクションなのに、はっきりしたオチがない。いろいろなうわさの真偽が見えてきて、高橋さんは逮捕された殺人犯と面会までするのに、謎は深まるばかりなんです。

 驚いたのは、日本中が「犯行予告」だと思った「つけびして 煙り喜ぶ 田舎者」という川柳が書かれた貼り紙が、事件とはまったく無関係だったことです。高橋さんが調べ上げなかったら、ただのうわさが“事実”として定着していたでしょうね。

『つけびの村』には、村人たちによる互いに互いを貶める悪口や、閉鎖的な空間でうわさが蔓延するメカニズムが、ルポの形式で書かれています。あまりのえげつなさに、「田舎の人を馬鹿にしているのか」とか「ノンフィクションの事件ルポなら、人がショックを受けるようなことを書いていいのか」とか、批判も受けたそうです。

関連記事

トピックス

6月にブラジルを訪問する予定の佳子さま(2025年3月、東京・千代田区。撮影/JMPA) 
佳子さま、6月のブラジル訪問で異例の「メイド募集」 現地領事館が短期採用の臨時職員を募集、“佳子さまのための増員”か 
女性セブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《広末涼子が釈放》「グシャグシャジープの持ち主」だった“自称マネージャー”の意向は? 「処罰は望んでいなんじゃないか」との指摘も 「骨折して重傷」の現在
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン
19年ぶりに春のセンバツを優勝した横浜高校
【スーパー中学生たちの「スカウト合戦」最前線】今春センバツを制した横浜と出場を逃した大阪桐蔭の差はどこにあったのか
週刊ポスト
「複数の刺し傷があった」被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバムと、手柄さんが見つかった自宅マンション
「ダンスをやっていて活発な人気者」「男の子にも好かれていたんじゃないかな」手柄玲奈さん(15)刺殺で同級生が涙の証言【さいたま市・女子高生刺殺】
NEWSポストセブン
NHK朝の連続テレビ小説「あんぱん」で初の朝ドラ出演を果たしたソニン(時事通信フォト)
《朝ドラ初出演のソニン(42)》「毎日涙と鼻血が…」裸エプロンCDジャケットと陵辱される女子高生役を経て再ブレイクを果たした“並々ならぬプロ意識”と“ハチキン根性”
NEWSポストセブン
山口組も大谷のプレーに関心を寄せているようだ(司組長の写真は時事通信)
〈山口組が大谷翔平を「日本人の誇り」と称賛〉機関紙で見せた司忍組長の「銀色着物姿」 83歳のお祝いに届いた大量の胡蝶蘭
NEWSポストセブン
20年ぶりの万博で”桜”のリンクコーデを披露された天皇皇后両陛下(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA) 
皇后雅子さまが大阪・関西万博の開幕日にご登場 20年ぶりの万博で見せられた晴れやかな笑顔と”桜”のリンクコーデ
NEWSポストセブン
朝ドラ『あんぱん』に出演中の竹野内豊
【朝ドラ『あんぱん』でも好演】時代に合わせてアップデートする竹野内豊、癒しと信頼を感じさせ、好感度も信頼度もバツグン
女性セブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
《実兄が夜空の下で独白》騒動後に中居正広氏が送った“2言だけのメール文面”と、性暴力が認定された弟への“揺るぎない信頼”「趣味が合うんだよね、ヤンキーに憧れた世代だから」
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下は秋篠宮ご夫妻とともに会場内を視察された(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA) 
《藤原紀香が出迎え》皇后雅子さま、大阪・関西万博をご視察 “アクティブ”イメージのブルーグレーのパンツススーツ姿 
NEWSポストセブン
2024年末に第一子妊娠を発表した真美子さんと大谷
《大谷翔平の遠征中に…》目撃された真美子さん「ゆったり服」「愛犬とポルシェでお出かけ」近況 有力視される産院の「超豪華サービス」
NEWSポストセブン