「〜すべき」という言葉はなるべく使わない
ADHDでよかったこともあるという。それは、次々と新しいことに挑戦できる点だ。これは多動傾向といわれるが、おかげで、発達障害の対処法を模索したり、幼い息子を育てながら家でもできる漫画という仕事も見つけられた。
「人にも恵まれました。寛大な母もそうですが、夫も大らかな人です。私はすぐメールの返信を忘れるし、コミュニケーション能力も低い。なのに、彼らは“普通”を強要してきません。2人の息子の発育に遅れがあるとわかっても、私が希望した療育に対し、否定をすることもありませんでした」
自分はそういう人たちに恵まれてきたから、周りに迷惑をかけながらも生きてこられたが、2人の子供たちがどんな人生を歩むのか、不安になることもあるという。
「漫画を描き始めてから、発達障害の当事者の話を聞く機会が増えました。居場所のなさに悩み、投薬治療をしながら社会生活を続けている人も少なくありません。うつや統合失調症を併発する人も多く、周囲の環境が大切だと感じています。私は幸いにも、いまは助けてと言える相手と専門家に恵まれました。できていないことも多いですが、自分が感じてきたことや経験を育児にも生かし、息子たちのいいところを伸ばしたいと思っています」
たとえば、「普通は〇〇だ」とか、「〜すべき」といった言葉をなるべく使わないように気をつけ、子供たちの考えを認めるようにしていきたいという。
【プロフィール】
漫画家・モンズースーさん/漫画家で2児の母。自分はADHD、長男・次男は発達障害グレーゾーン。3月30日に新刊『家族から放置されて発達障害に気づかないまま大人になりました』(KADOKAWA)が発売予定。
※女性セブン2023年3月30日・4月6日号