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高級うどんの代名詞「稲庭うどん」 全工程が職人の手作業、気温や湿度によって調整も

透き通るような白肌の艶やかでコシのある細麺は、職人による伝統的な手作業によって生まれる

透き通るような白肌の艶やかでコシのある細麺は、職人による伝統的な手作業によって生まれる(撮影/太田真三)

 豪雪地帯、湯沢市稲庭町の名産品・稲庭うどんは、寛文5(1665)年に佐藤吉左エ門によって製法が確立したとされ、佐竹藩主の御用品として名声を高めた。宗家の流れを汲む一子相伝の製法を受け継いだのが、現在の佐藤養助商店だ。

 高級うどんの代名詞でもある稲庭うどんは、しっかりとしたコシ、ツルツルの喉越しが際立つ。美味しさの理由を8代目佐藤養助・佐藤正明社長はこう語る。

「3~4日かかる全19工程を職人が手作業するからです。その日の気温や湿度によって水分や塩分、熟成時間を変えて調整します。コシの強さや滑らかさは、手で延ばしていることによって出てきます。伝統製法を守り、1本1本に込める職人の感性と技が美味しさにつながっているのです」

 手綯い作業では、生地を両手でよりながら細くし、2本の棒に均等の太さで8の字を描くようにかけていく。透き通るような白肌の艶やかでコシのある細麺は、職人による伝統的な手作業によって生まれる。

『稲庭干温飩 伝承八代目』(100g×10 8640円)は、8代目佐藤養助・佐藤社長が自ら「練る」「綯う」「延ばし」といった伝統的な手作業で仕上げる。麺は1本1本が芸術品のようで、10束セット。風呂敷包みで届けられる。7代目が一子相伝の技術を公開した50年前を機に製造者が増え、地域で稲庭ブランドを守り続けている。

取材・文/上田千春

※週刊ポスト2023年3月31日号

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