スポーツ

「大谷翔平語録」に感じる並外れた聡明さ そこには「ひととして大事なこと」が詰まっている

WBC表彰式後の大谷翔平(AFP=時事)

WBC表彰式後の大谷翔平(AFP=時事)

 感動的な結末からも学ぶべき点は多い。コラムニストの石原壮一郎氏が考察した。

 * * *
 ここまでドラマチックで感動的で胸躍る展開になるとは、誰が予想したでしょうか。第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は、日本時間22日、日本の14年ぶり3度目の優勝で幕を下ろしました。

 大会MVPに選ばれたのは、文句なしの大谷翔平(エンゼルス)。大谷は、大会のベストナインでも投手と指名打者で同時選出されています。もちろん、ほかの選手も大活躍したからこその優勝ですが、大谷の投打にわたる活躍には世界中がうならされました。

 大谷が“別格”っぷりを見せつけたのは、試合中だけではありません。試合後のインタビューでも、次々に繰り出される「大谷語録」には世界中がうならされました。そこには、私たちが忘れてはいけない「ひととして大事なこと」が詰まっています。感動の余韻にひたりつつ、ひときわ印象に残った言葉をピックアップしてみましょう。

 大きな話題を呼んでいるのが、決勝戦のあとに行なわれた米メディア『FOXスポーツ』のインタビューでのやり取り。そこで大谷は、MLBで通算696本塁打を放ったアレックス・ロドリゲス氏と、レッドソックスで541本塁打を放ったデビッド・オルティズ氏のレジェンド二人から質問を受けました。とくに注目したいのは、次の3つの回答です。

「僕らはアメリカの野球をリスペクトしているし、彼らの野球を見本にしてこれまで頑張ってきたと思うので、今日はたまたま勝ちましたけど、これからもっともっと高いところを目指して頑張っていきたいと思います」

 アナウンサーの「日本で見ている人々にはこの勝利はどういう意味を持つか?」という質問に対して。アメリカの地でアメリカ代表チームを倒しましたが、あくまでも謙虚に相手を立てつつ、敬意と感謝を示しています。一見、質問に答えていないようでいて、ちゃんと「意味」を伝えているところに、並外れた聡明さを感じずにはいられません。

「日本の田舎であまりチームも少ないようなところでやっていたので、日本の人たちからしても頑張ればこういうところでできるんだというのは、よかったんじゃないかと思います」

 オルティズ氏の「真剣な質問をするが、どの惑星から生まれたのか?」というジョーク混じりの変化球に対して。半端にボケるわけでもなく、真面目に「地球です」と返すわけでもなく、自分の故郷の話にもっていったところがお見事。田舎で野球をしている子どもたちはさぞ大きな勇気を授かり、地元の人たちはさぞ感動したことでしょう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

屋根工事の足場。普通に生活していると屋根の上は直接、見られない。リフォーム詐欺にとっても狙いめ(写真提供/イメージマート)
《摘発相次ぐリフォーム詐欺》「おたくの屋根、危険ですよ」 作業着姿の男がしつこく屋根のリフォームをすすめたが玄関で住人に会ったとたんに帰った理由
NEWSポストセブン
人が多く行き交うターミナル駅とその周辺は「ぶつかり男」が出現する(写真提供/イメージマート)
《生態に意外な変化》混雑した駅などに出没する「ぶつかり男」が減少? インバウンドの女性客にぶつかるも逆に詰め寄られ、あわあわしながら去っていく目撃談も
NEWSポストセブン
現在はニューヨークで生活を送る眞子さん
「サイズ選びにはちょっと違和感が…」小室眞子さん、渡米前後のファッションに大きな変化“ゆったりすぎるコート”を選んだ心変わり
NEWSポストセブン
大の里、大谷
来場所綱取りの大関・大の里は「角界の大谷翔平」か やくみつる氏が説く「共通点は慎重で卒がないインタビュー。面白くないが、それでいい」
NEWSポストセブン
悠仁さまの通学手段はどうなるのか(時事通信フォト)
《悠仁さまが筑波大学に入学》宮内庁が購入予定の新公用車について「悠仁親王殿下の御用に供するためのものではありません」と全否定する事情
週刊ポスト
すき家がネズミ混入を認める(左・時事通信フォト、右・Instagramより 写真は当該の店舗ではありません)
味噌汁混入のネズミは「加熱されていない」とすき家が発表 カタラーゼ検査で調査 「ネズミは熱に敏感」とも説明
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”の女子プロ2人が並んで映ったポスターで関係者ザワザワ…「気が気じゃない」事態に
NEWSポストセブン
CM界でも特大ホームラン連発の大谷翔平
【CM界でも圧倒的な存在感の大谷翔平】「愛妻家」のイメージで安定感もアップ、家庭用品やベビー用品のCM出演にも期待
女性セブン
堀田陸容疑者(写真提供/うさぎ写真家uta)
《ウサギの島・虐殺公判》口に約7cmのハサミを挿入、「ポキ」と骨が折れる音も…25歳・虐待男のスマホに残っていた「残忍すぎる動画の中身」
NEWSポストセブン
船体の色と合わせて、ブルーのスーツで進水式に臨まれた(2025年3月、神奈川県横浜市 写真/JMPA)
愛子さま 海外のプリンセスたちからオファー殺到のなか、日本赤十字社で「渾身の初仕事」が完了 担当する情報誌が発行される
女性セブン
昨年不倫問題が報じられた柏原明日架(時事通信フォト)
【トリプルボギー不倫だけじゃない】不倫騒動相次ぐ女子ゴルフ 接点は「プロアマ」、ランキング下位選手にとってはスポンサーに自分を売り込む貴重な機会の側面も
週刊ポスト
ドバイの路上で重傷を負った状態で発見されたウクライナ国籍のインフルエンサーであるマリア・コバルチュク(20)さん
《ドバイの路上で脊椎が折れて血まみれで…》行方不明のウクライナ美女インフルエンサー(20)が発見、“危なすぎる人身売買パーティー”に参加か
NEWSポストセブン