ライフ

いまどきの卒業アルバム 合成、差し替え、加工まで何でもありの現実

卒業アルバムも合成や加工が当たり前に?(イメージ)

卒業アルバムも合成や加工が当たり前に?(イメージ)

 卒業アルバムに載る写真は、SNSで見かけるように映えていたり、キラキラしたりはしていないかもしれないが、現実の記録として「ありのまま」を受け入れるのが普通だった。ところが最近では、現実を受け入れず変更を要求する生徒と保護者が増えているという。ライターの森鷹久氏が、卒業アルバム編集をめぐる混乱についてレポートする。

 * * *
「デジタルになって、誰もがきれいで上手な写真を撮るようになってから、いろいろ変わりましたね。最近だと、女の子だけでなく男の子でも、自撮りの”加工”までする。写真うつりなど、昔の子なら気にしないような細かい所までチェックする。今の子達は本当に敏感ですよね」

 千葉県内で写真館を経営する杉本義彦さん(仮名・50代)は、十年以上、地域の小中学校の卒業アルバム制作に携わっている。入学式から部活の大会、修学旅行にも泊まりがけで同行し撮影するが、それを数校掛け持つため、その負担は相当なものである。しかしほぼ一年間、大小様々なイベントで行動を共にすることで、生徒たちからも「杉本のおじちゃん」と慕われ、アルバムの納品時には目頭が熱くなることもある、かなりやりがいのある仕事だと話す。だがこの数年は、アルバム制作を巡って今までに無かったような「トラブル」が続発しているという。

「クラスの集合写真を撮る際、お休みしている生徒さんがいると、昔は後日別撮りして、集合写真の中に丸枠で入れていました。そういう子には不登校児も多く、複数の親御さんからも”遺影みたいで気の毒だ”というクレームが出て、今では“合成”が当たり前になっています。集合写真の撮影の際も、先生がお休みの生徒を合成するスペースを取るよう生徒に指示を出すんですよ」(杉本さん)

 実際に杉本さんが合成したという写真を筆者も確認したが、集合写真の中に、周囲とは光の当たり方や色味の異なる生徒の写真が確かに合成されていた。一見するとわかりにくいが、撮影するシチュエーションも違えば、微妙な角度も違い、やはり合成であることはわかってしまう。当然に労力だって、以前に比べれば大きくなったものの、それでも「親御さん達の希望」であれば、杉本さんとしては従うしかない。卒アルにどんな写真が載るのか、かつて以上に生徒たちが気にしていることも肌で感じているからだ。

「集合写真でも個人写真でも、撮影後に”見せて”と生徒がやってくる。昔なら、いい顔とか変な顔とか笑い合って終わりましたし、もっと昔のフィルム時代なら“見せて”もなかったわけですよ。最近だと撮り直して欲しいと泣き出す子までいて、毎回、本当に苦労しています。以前なら、目をつぶった写真が数枚紛れ込むことは普通でしたが、今はそれすら許されない。フィルムと違って、デジタルで何百枚も撮れるようになったので、とにかく枚数を撮ってカバーしています。いくら子供さんでもお客さんですから、できるだけ要望には応じます。成人式など、後から写真館を利用してくれる可能性だってありますし」(杉本さん)

関連記事

トピックス

違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
「よだれを垂らして普通の状態ではなかった」レーサム創業者“薬物漬け性パーティー”が露呈した「緊迫の瞬間」〈田中剛容疑者、奥本美穂容疑者、小西木菜容疑者が逮捕〉
NEWSポストセブン
1泊2日の日程で石川県七尾市と志賀町をご訪問(2025年5月19日、撮影/JMPA)
《1泊2日で石川県へ》愛子さま、被災地ご訪問はパンツルック 「ホワイト」と「ブラック」の使い分けで見せた2つの大人コーデ
NEWSポストセブン
男が立てこもっていたアパート
《船橋立てこもり》「長い髪に無精ヒゲの男が…」事件現場アパートに住む住人が語った“緊迫の瞬間”「すぐ家から出て!」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で「虫が大量発生」という新たなトラブルが勃発(写真/読者提供)
《万博で「虫」大量発生…正体は》「キャー!」関西万博に響いた若い女性の悲鳴、専門家が解説する「一度羽化したユスリカの早期駆除は現実的でない」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《美女をあてがうスカウトの“恐ろしい手練手管”》有名国立大学に通う小西木菜容疑者(21)が“薬物漬けパーティー”に堕ちるまで〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者と逮捕〉
NEWSポストセブン
江夏豊氏が認める歴代阪神の名投手は誰か
江夏豊氏が選出する「歴代阪神の名投手10人」 レジェンドから個性派まで…甲子園のヤジに潰されなかった“なにくそという気概”を持った男たち
週刊ポスト
キャンパスライフを楽しむ悠仁さま(時事通信フォト)
悠仁さま、筑波大学で“バドミントンサークルに加入”情報、100人以上所属の大規模なサークルか 「皇室といえばテニス」のイメージが強いなか「異なる競技を自ら選ばれたそうです」と宮内庁担当記者
週刊ポスト
前田健太と早穂夫人(共同通信社)
《私は帰国することになりました》前田健太投手が米国残留を決断…別居中の元女子アナ妻がインスタで明かしていた「夫婦関係」
NEWSポストセブン
子役としても活躍する長男・崇徳くんとの2ショット(事務所提供)
《山田まりやが明かした別居の真相》「紙切れの契約に縛られず、もっと自由でいられるようになるべき」40代で決断した“円満別居”、始めた「シングルマザー支援事業」
NEWSポストセブン
新体操「フェアリージャパン」に何があったのか(時事通信フォト)
《代表選手によるボイコット騒動の真相》新体操「フェアリージャパン」強化本部長がパワハラ指導で厳重注意 男性トレーナーによるセクハラ疑惑も
週刊ポスト
1990年代にグラビアアイドルとしてデビューし、タレント・山田まりや(事務所提供)
《山田まりやが明かした夫との別居》「息子のために、パパとママがお互い前向きでいられるように…」模索し続ける「新しい家族の形」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【国立大に通う“リケジョ”も逮捕】「薬物入りクリームを塗られ…」小西木菜容疑者(21)が告訴した“驚愕の性パーティー” 〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン