WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で侍ジャパンが14年ぶりの優勝を飾り、日本中が沸いた。エンゼルス・大谷翔平(28)やヤクルト・村上宗隆(23)を中心とした侍メンバーたちが激闘を繰り広げたが、その裏で球界OBたちも“コメンテーターの椅子”を争って奮闘していた。
大会期間中、テレビから引っ張りだこだったのが、元日本ハムの杉谷拳士(32)と「ハンカチ王子」こと斎藤佑樹(34)だ。
昨季で現役引退した杉谷は、WBCの解説者として、『サンデージャポン』『アッコにおまかせ!』(ともにTBS系)などの番組に相次いで出演。準決勝・決勝の舞台となった米・マイアミにも赴いた。参加した優勝記者会見では、元同僚の大谷に対して「果たして私のこと覚えてらっしゃいますでしょうか?」と質問して笑いを誘い、その場面はネットやテレビで大きく放映された。
一方の斎藤は、『ひるおび』(TBS系)などの番組で、今大会ブレークしたカージナルスのラーズ・ヌートバー(25)とのエピソードを披露。高校時代、米国遠征した際にバットボーイをしていたヌートバーとの交流は大きな話題になった。3月16日の対イタリア戦では、テレビの仕事で訪れた斎藤がヌートバーと抱擁を交わす場面も見受けられた。TBS局員が語る。
「杉谷は松本剛(29、日ハム)などをOBに抱える帝京高校出身で、斎藤は投手として2006年に甲子園優勝を飾った早稲田実業の出身と、ともに東京の名門高を卒業している。また、日ハム時代の実績はパッとせず若くして現役を引退していることなど、経歴が似ています。そのため、キャスティングする際はどちらか一方を使うことになるでしょう」(TBS局員)
引退後の“ポジション争い”を制するのはどちらか。野球評論家として大先輩である江本孟紀氏はこう見る。
「その人の中身よりも、古いか新しいかで判断される時代だからね。ただ、時代が移っても野球コメンテーターは“自分の経験をもとにファンに分かりやすく解説することが大事”というのは変わらない。バラエティではなく野球報道ですからね。
そういう意味では、甲子園で優勝投手となり、ドラフト1位で入団した斎藤のほうが解説にも説得力があるかな。でも、テレビを観る人の価値観も変わっているし、甲乙付けがたいね。それに斎藤に限らず、よく野球のことを勉強し、心理面や技術面をロジカルに解説できる若手の解説者は増えていて、全体的に解説者のレベルは上がっているんじゃないですかね」
WBC後も二人の“場外対決”に注目だ。
※週刊ポスト2023年4月7・14日号