厚生労働省によれば、2025年には65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症を患うと推計されている。いつまでも脳を健康に保ちたいというのは、高齢社会の切なる願いだ。脳を活性化させる脳トレは、根強い人気がある。
そこで本誌『週刊ポスト』が注目したのが有名私立小学校の入試問題。6歳児の論理的な思考力を試すものだが、大人の「頭の体操」としても持ってこいだというのだ。脳科学者の塩田久嗣氏はこう語る。
「大人でも少し迷う問題があり、認知機能の訓練に期待ができます」
さまざまな脳を診断してきた塩田氏によれば、脳の老化予防に必要なのは適度な運動や睡眠、健康的な食事、他者とのコミュニケーションが挙げられるという。
「その上で、さまざまなジャンルの脳トレに取り組むことです。大切なのは、能動的に脳を使うこと。1日10分でもいいので挑戦してみてください」
たかだか6歳児のお受験と侮るなかれ。有名私立小学校の入試問題ともなれば、大人でもじっくり頭を働かせる必要がある。たとえば、青山学院横浜英和小学校で出された問題は、上側のお手本と同じになるように、下側に図形を描くもの。
「上の図形をしっかり把握・認知したうえで、下に同じ、あるいは反転した図を書くことになるので、前頭葉(特に前頭前野部分)を使います。点と点を線で結ぶことで多くの情報を処理するため、認知機能を司る脳の部位が全体的に鍛えられます」(塩田氏)
たかだか6歳児のお受験と侮るなかれ。有名私立小学校の入試問題ともなれば、大人でもじっくり頭を働かせる必要がある。健康のためにトライしてみるのもいいかもしれない。
※週刊ポスト2023年4月7・14日号