実写映画版第二弾となる『刀剣乱舞-黎明-』が公開前から話題を呼んでいる。一足先にチェックした時代劇研究家でコラムニストのペリー荻野さんが見どころについて綴る。
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日本刀の名刀を擬人化し、戦で敵を討伐するという画期的なゲームに始まり、アニメ、ミュージカル、映画も大人気となった『刀剣乱舞』。3月31日公開の『刀剣乱舞-黎明-』は、実写映画版の第二弾だ。
始まりは、西暦2205年。「歴史修正主義者」が、歴史改編を目論む。彼らが狙ったのは、西暦995年の京都。そこでは藤原道長(柄本明)と安倍晴明(竹財輝之助)が密談中。彼らの指示によって、大江山に住む鬼、酒呑童子の討伐に向かった源頼光(津田寛治)は、目を光らせる異様な集団に遭遇する。
それは歴史修正主義者が放った“時間遡行軍”。この窮地に現れたのが、三日月宗近(鈴木拡樹)ら刀剣男士たち。だが、仲間の山姥切国広(荒牧慶彦)は、呪いを受け、消えてしまう。三日月宗近が向かったのは、日本各地で不可解な事件が頻発する2012年の東京!
前作では、「本能寺の変」がカギだったが、人は多いわ、みんなスマホを持ってるわ、そんな東京で刀剣男士たちは、どんな戦いをするのか?
このシリーズの面白さは、刀剣一振りごとに、歴史があり、擬人化されたときに個性が出ること。さらに、刀剣男士には、それぞれに“仮の主”がいて、青い着物姿で落ち着きと優しさを感じさせる三日月宗近の2012年の仮の主は、なんと女子高生の琴音(秋田汐梨)だった。彼女に従って教室にいる三日月宗近。違和感300パーセントだが、この場違いムードもこの作品の見どころといえる。
そして、刀剣男士ならではのアクション。海外の大作で活躍するスタッフによるVFXとともにワイヤーアクション、最新ドローンなどを駆使。ファンタジーならではの目くるめくアクションの数々にはドキドキだが、やっぱり俳優たちが実際に体をぶつけあい、刀を激しく打ちつけるハイスピードの殺陣は、迫力だ。
個人的には、特に鈴木拡樹の指先と手首の返しの美しさに注目している。かつて私は時代劇の名優から、殺陣では手首のグリップが大事だと教えられたことがある。その人は力強い殺陣が持ち味で、確かに斬り方も刀の返し方もズバッと重い。一方、三日月宗近は、激しい闘いの中でも、しなやかで華麗だ。