プロ野球の開幕が近づいてきた。オープン戦で順調な仕上がりを見せる選手がいる一方で、本来の状態に上がって来ない選手もいる。その代表格が巨人・坂本勇人だ。
WBCの侍ジャパンのメンバーに入ることはなく、シーズンの調整に専念するために出場を辞退。だが、オープン戦で快音が聞かれない。3月25日の楽天戦で23打席ぶりの安打を放ち、翌26日の同戦では2回1死の一、二塁でバニュエロスの149キロ直球を引っ張り左翼線を破る先制の2点適時二塁打と復活の兆しを見せたが、オープン戦で36打数4安打、打率.111。ドラフト4位の門脇誠、高卒3年目の中山礼都が攻守でハツラツとしたプレーを見せて猛アピールしているだけに、坂本もウカウカできない。開幕スタメンの可能性が高いと報じられているが、春先も低空飛行が続くようだと、遊撃の「レギュラー陥落」が現実味を帯びる。
他球団のスコアラーは、坂本の状態をこう分析する。
「まだまだ試行錯誤の段階だと思います。気になるのはスイングが弱いこと。本人が捉えたと思っても力のない内野ゴロが多いのは、思い描いたイメージに体が反応できていないのだと思います。コンディションを上げればこのズレが解消できるのか、それとも衰えで取り戻せないものなのか……現時点で見極めるのは難しいですね」
坂本の魅力は技術もさることながら、体の強さだった。レギュラーをつかんだ高卒2年目の2008年から15年間も遊撃を守り続け、主将としてチームを引っ張ってきた。体調管理のために酒を控える若手が増えている中、坂本は豪快だった。繁華街で飲み歩く目撃情報が絶えず、甘いマスクで女性関係のスキャンダルも絶えなかった。今年のキャンプでも宮崎の繁華街で後輩を引き連れ飲み歩いている様子が報じられている。スポーツ紙記者はこう証言する。
「坂本は昔の昭和のプロ野球選手みたいな感じ。豪快に飲んで豪快に遊ぶ。でも野球は一切の妥協をしない。酒が決して強いわけではないと思います。店で酔いつぶれて寝ていた姿を何度も見ましたし。酒が完全に抜けずにグラウンドに来ていた時もありましたが、それでもきっちり活躍する。まさにスーパースターですよね」