国内

ベストセラー作家・橘玲【ホストクラブを巡る緊急対談】「賢い女性がバカな男に尽くす世の中が日本をダメにする」

ベストセラー作家・橘玲氏が

ベストセラー作家・橘玲さんがノンフィクションライターの宇都宮直子さんと対談

 日本を取り巻く分断の正体や、自由で平等な社会がかえって不自由さを生む皮肉さを脳科学や進化論、遺伝学をもって読み解くベストセラー作家の橘玲さん。新刊『シンプルで合理的な人生設計』も話題の彼が、最近関心を持っているのがホストクラブにハマり、その沼から抜けられない女性客たちの存在。通称「ホス狂い」と呼ばれる彼女たちを追い続けるノンフィクションライターの宇都宮直子さんと緊急対談を行った。

 アプローチの違いこそあれ、互いに日本社会の「不都合な真実」に迫るふたりが、頻発する事件の読み解き方からシニア婚活の最新事情まで、日本を取り巻くシビアすぎる現実について語り合った。その第1回をお送りする(全3回)。

 * * *

宇都宮:橘さんの新著『シンプルで合理的な人生設計』、すごく興味深く拝読しました! 同時に、これまで自分が人生において「全く合理的でない」選択ばかりしてきたことに落ち込みもしましたが……(苦笑)。

橘:ありがとうございます。本の中でも書いたのですが、ホス狂いって、一見不都合極まりない選択に見えて、実はすごく“合理的な選択”だと思っていて……。女性にとってのロマンスの原型は、不愛想だけど圧倒的な強さをもつ「アルファ」の男と、献身的な「ベータ」の男の二人から愛されることですよね。実際、『風と共に去りぬ』から『トワイライト』まで、ラブロマンスの大半はヒロインがアルファとベータの間を揺れ動くストーリーですが、ホストクラブはそれをリアルに実現していて、すごいと思いました。

宇都宮:まさにその通りです。ホス狂いから聞くホストとの話って、どれも少女漫画に出てきそうなくらい、ロマンチックなんです。愛のこもったLINEをこまめにやりとりして、記念日にはプレゼントをもらって、時には恋人のようなけんかもして……ただし、「お金を払い続けている」という注釈がつきますが。

橘:そこは疑問に思ったところなのですが、彼女たちは「お金で買う愛」で満足できるんですか?

宇都宮:確かに「恋愛にお金を介在させるなんて、ムードがないというか、成立するのか」なんて言われますよね。

橘:セックスのあと、女の子に10万円の指輪を渡すのは恋愛ですが、1万円札10枚だと買春になる。愛はプライスレスだとされているからですが、ホストクラブのように、恋愛にあからさまにお金を介在させると幻滅するんじゃないかと思ったんですが、彼女たちは気にしないんですか?

宇都宮:やっぱり「ホス狂い」を名乗るような女の子たちって特殊なので、世間のスタンダードと同じとは言い切れないところもあると思うのですが、「お金を払っていることで逆に安心できる」と話す子も多いです。「ホストとの関係は、どんなにこじれてもお金さえ払えば、それがなかったことになって修復されるからラク」と断言して大金を貢ぎ続ける女の子もいました。

橘:なるほど。お金ですべての問題が解決できるというのは、消費社会ならではかもしれないですね。確かに普通の恋愛だと、どんなに頑張って愛しても同じだけの愛が返ってくることはないし。

宇都宮:それどころかあっさり振られたりする。見返りがもらえるとは限らないのが恋愛の難しいところです。だけど相手がホストならお金を払った分だけ何らかの形で返してもらえるし、よっぽどのことがない限り振られることもない訳です。あとは、「自分で稼いだ大金を渡してホストに認められることで、私にはそれだけの価値があることを実感できる」と言った子もいました。

橘:ホストに貢ぐことが自己肯定感と結びつくわけですね。

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン