ホストクラブにハマる客の中には、本気でホストに恋をしてしまい、彼らにカネだけでなく身も心も、もっといえば人生のすべてを捧げてしまう、そんな女性たちがいる。ホストはそうした彼女たちの「恋愛感情」をある意味でビジネスにしていると言えるが、最近、予想外のトラブルも増えているという。
歌舞伎町の住人たちを取材した著書『ホス狂い~歌舞伎町ネバーランドで女たちは今日も踊る~』を持つノンフィクションライターの宇都宮直子氏がレポートする。
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「最近、『差し入れだよ』って店に手料理を持ち込んで来る姫に困っていて……」そうため息をつくのは歌舞伎町の有名ホストクラブで何度もナンバー入りを果たしてきたカリスマホストのヒロム(仮名)だ。
「もちろん、お金を払ってお店に来てくれているうえでの行為ですし、決して安くはない持ち込み料も払ってもらっているけれど、正直手料理って、怖いですよね(苦笑)。衛生的な問題もあるし、何が入っているかわからない。だけど、テーブルでタッパーを広げられたら食べない訳にはいかない。これ、けっこう深刻な問題なんです」
実はこの「手料理の差し入れ問題」、夜の街界隈では昔から問題視されてきたようだが、近年になって広く知れ渡るようになってきたという。ある水商売系インスタグラマーが明かす。
「もともと、風俗で働く女の子の間では、お客さんから差し入れされた手料理に爪や髪の毛などが混入していたり、薬物が仕込まれていたりというトラブルも起きていて、『手作りの差し入れは危険だから手をつけてはいけない』が暗黙のルールとされてきました。それが最近、ホストクラブでも問題になり始めた。1つのきっかけは昨年YouTubeで人気のホスト動画チャンネルに、ジップロックに入れたお手製の料理を担当ホストに差し入れて、食べさせる40代の女性客が登場し、大炎上したことだと言われています。
この動画が拡散されて広く伝わり、ネットユーザーの中で『ホストクラブに手料理を差し入れるのはアリかナシか』との大論争が巻き起こる騒ぎとなりました」
SNSでも6万フォロワーを誇る有名Twitterアカウント「新宿の女」が今年2月に《手料理、手作りホスクラに一度でももっていくやつは多分本当に社会不適合者》とツイート。瞬く間に「いいね!」がついた。
そんな“逆風”にもめげずに、毎週のように担当(※指名しているホストのこと)に手料理を差し入れている女性がいる。
ハンドルネーム・あおりんごさん(43才)はタレントのSHELLEY(38才)に似た華やかな女性だ。彼女のインスタグラムを覗いてみると《ホス狂い/現役料理人/歌舞伎町で1番料理の上手い姫(※ホストクラブに通う女性客のこと)/担当に差し入れをリクエストされる姫》との文言とともに、ホストクラブの店内と思われる煌びやかな卓上の上にキレイに並べられた「差し入れ料理」の数々がアップされている。