WBCで14年ぶりに侍ジャパンを世界一に導いた栗山英樹監督(61)。大谷翔平やダルビッシュ有などのスター軍団をまとめ上げた求心力と采配は「理想の上司」と讃えられ、約3年半前に出版していた著書『栗山ノート』は、3月末に3万2000部の増刷が決定するほどの人気ぶりである。
栗山監督は歴史好きで、戦国武将を監督像の参考にとしているという。なかでも好きな武将が大谷吉継だ。豊臣秀吉に尽くし、その死後は盟友の石田三成を支え、関ヶ原の戦いで散った。その大谷の生きざまにあこがれていると、3月22日付の日刊スポーツが監督の発言を伝えている。
「戦国武将って、非情にならなきゃいけないところもあったと思う。それでも、そういう世界でも、やっぱり人のために尽くしきれる武将がいた」
「そういう生きざまって、あこがれる。監督って、自分を捨てることだと思うんでね。自分なんか足元にも及ばないですけど。その意志だけは、いつも思っている」
栗山監督は『週刊ポスト』で「逆説の日本史」シリーズを連載中の作家・井沢元彦氏と対談したことがある。そのなかで、大谷吉継に興味を持つきっかけについて、こう明かしていた(以下、『週刊ポスト』2017年2月10日号より)。
〈井沢:好きな戦国武将は誰ですか?
栗山:大谷吉継(豊臣秀吉の家臣)ですね。美談ばかりが伝えられていて、本当かなと思ってしまうぐらいです。史実はどうなんですか?
井沢:実際に人格者だったみたいですね。あの時代の大名や武将って英雄扱いされている人でも陰で悪いことをしてるとか、女好きだったとか、何かしら悪い逸話も残っている。ところが大谷に限ってはそうした話を聞かない。
栗山:大谷吉継のように義があってブレない人って、出世する前に潰されたりしちゃうじゃないですか。でも義を貫いたままで後世に名を残せたという生き様に憧れるんですよね。
井沢:名字も「大谷」ですしね(笑い)。
栗山:そうなんです(笑い)。実は興味を持ったきっかけは大谷つながりだったんです。それで調べてみたら、この人はすごくいい人物だとわかって、好きになったんです〉
きっかけはやはり大谷だったのだ。そして栗山監督自身が大谷との信頼関係を軸に、「義を貫いたままで後世に名を残せた」偉大な“武将”となった。