球界を代表する人気球団である巨人と阪神。今シーズンも「伝統の一戦」を楽しみにするファンは多いが、両球団の“戦力”評価はかなりの大差があるようで……。
もはや“ダメ虎”の面影はない。阪神が開幕からノリノリだ。昨季は泥沼の9連敗と大きくつまずいたが、今年のDeNAとの開幕カードは京セラドームで3タテ。続く広島戦も勝利し、15年ぶりとなる開幕4連勝を飾った。阪神元監督の藤田平氏が語る。
「やはり岡田(彰布)監督(65)の存在が大きいね。阪神のアレ(優勝)に期待しているが、開幕後の試合を見た限りは予想以上ですわ。大きい当たりは出ていないが、大山(悠輔、28)と佐藤(輝明、24)を中心とした打線がつながり、チーム力で勝つ。岡田監督が春季キャンプから取り組んできた野球が少しずつできているんとちゃいますか」
結果が裏付けているように、今年のペナント予想は、「阪神推し」が目立つ。5大スポーツ紙の開幕前の順位予想でも77人の評論家のうち、42人が阪神の優勝を予想した。今のところは投打がガッチリ噛み合った横綱相撲で、前評判通りの戦いぶりを見せている。
一方で悲観的な声が多いのが、球界の盟主である巨人だ。“機関紙”のスポーツ報知でも10人の評論家のうち、5人が阪神優勝を予想するまさかの“造反”。開幕4戦で3勝1敗と貯金をつくったが、識者の評価は芳しくない。阪神OBの江本孟紀氏は言う。
「阪神は昨年まで幼稚なチームだったけど、“大人の野球”をする岡田監督に変わってチーム全体に重みが出た。対する巨人は打線に威力はあるものの、フタを開けるまで誰が活躍するかわかりません。開幕カードは中田(翔、33)がよく打ったが、岡本(和真、26)や丸(佳浩、33)、坂本(勇人、34)に火がつかなければ単発で終わりです。そのうえエースの菅野(智之、33)が開幕戦を回避でしょう。チーム全体に勝つための執念や意気込みが見えてこない」
元巨人エースの城之内邦雄氏は、古巣のコーチ陣が不安だと語る。
「気になるのは“キャンプでコーチがどんな指導をしたのか”です。現在の投手チーフコーチは阿波野(秀幸、58)ですが、どうしても選手に遠慮しているように見える。原(辰徳)監督(64)が陣頭指揮を執らなければ、選手とコーチ陣の歯車が噛み合わないままシーズンが終わりかねない。今年のセは混戦模様なだけに、先発陣が整備できないと最悪の場合、巨人は最下位もあり得ます」
※週刊ポスト2023年4月21日号