WBCでの活躍に続いて、シーズンに入っても大谷翔平(28)が躍動している。開幕6試合時点で打率.286、本塁打2、防御率0.75と好調をキープ。大谷への注目度は増すばかりだが、現地の記者の目には、大谷はどのように映っているのだろうか。『大谷翔平 二刀流の軌跡』(辰巳出版刊)の著者で米国人ジャーナリストのジェイ・パリス氏が、ほかのメジャーリーガーにはない大谷の長所や今後の見通しについて語った。
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私が大谷を取材するなかで感じたことは、彼は「最高の野球選手」という枠に留まらない存在になっているということです。その圧倒的な野球の実力と同じくらい輝かしい長所は、どんな言語でもファンとつながることができる能力だと思う。そして、とても気品があり、謙虚でもある。ユニフォームを着ていないときの振る舞いも含めて、ファンにとっても人間として模範となる存在です。
素晴らしい人間性が表われた具体的なエピソードをお話しましょう。あれは2021年に大谷が、クアーズフィールド(コロラド州デンバー)で行なわれたオールスターゲームに出場した時のことです。彼はホームランダービーに出場したことで15万ドル(当時のレートで約1650万円)の賞金が贈られましたが、そのお金を自分の懐に入れるのではなく、エンゼルスのスタッフとチームのトレーニングスタッフらに送ったのです。まったく予想外の行動でした。
「ボールボーイ」にも気を遣う
もっとも、こうした紳士的な振る舞いは普段から垣間見えます。四死球で一塁に向かう場面での彼の振る舞いをぜひ見てみてください。大谷は、一塁線を歩いていく途中、防護パッドやバッティンググローブを脱ぎ捨てるのではなく、体から丁寧にアイテムを外し、きれいに畳んでからバットボーイに渡してあげる。試合中にもかかわらず自身の手間よりも、バットボーイが腰を屈めて、地面に落ちたものを拾わなければならないことの負担を懸念しているのです。メジャーリーグの選手がそうした行為をするのは、非常に稀なことなんです。