ホームページを確認するとそこには地下水の測定地点である、市町村名が確かに書かれていた。
しかし、わかりづらいうえに、ひと口に「市」といってもその中のどの辺りなのか、該当する地域の住民ならば知りたいと思うのが当然だ。やはり、手うすと言わざるを得ないだろう。
今後起きるのは魚や野菜の食品汚染
国内でPFAS汚染が最も懸念されるのが沖縄県だ。しかし、詳細な調査が行われているとは言えないのが現状である。立ちはだかるのは沖縄の特殊な事情だ。沖縄の市民団体「有機フッ素化合物汚染から市民の生命を守る連絡会」共同代表で、沖縄大学名誉教授の桜井国俊さんはこう指摘する。
「沖縄の調査が不充分なのは、米軍に『排他的管理権』を認めた日米地位協定が理由です。つまり、米軍が管轄している基地の中などは調査の許可が下りないということ。また、政府も沖縄の問題ならば本土の国民はあまり関心を示さないと高をくくっている。
しかし、東京・多摩地区や大阪・摂津などでも、次々とPFAS汚染の実態が明らかになってきています。これら汚染地域に暮らす市民が揃って声を上げ、政府を動かしていくしかありません」(桜井さん・以下同)
沖縄県が独自に調査した「令和4年度有機フッ素化合物環境中残留実態調査結果(夏季)」によれば、県内46地点のうち32地点で暫定指針値を超えたPFASが検出されている。最大濃度は嘉手納町の屋良ヒージャーガーの2100ng/L。これは暫定指針値の40倍以上の数値だ。
桜井さんは基地内を含めしっかりした調査を行えば、さらなる汚染事例がたくさん出てくるだろうと予想する。
「米軍基地を受け入れているほかの国々がアメリカと結んでいる地位協定をみると、ドイツとイタリアには基地内への立入調査権がある。それがない日本は、いまだにアメリカの“属国状態”であることは明らかです」
沖縄県内の市民団体「宜野湾ちゅら水会」の共同代表・町田直美さんもこう言う。
「米軍との交渉記録などを情報開示請求しても、アメリカとの信頼関係を損なうとの理由でほとんどが黒塗りされた資料しか開示されません。
ただ、アメリカの『情報公開法』を使えば、アメリカから情報を開示することができ、実際、米海兵隊がPFAS汚染の可能性に関する沖縄防衛局からの問い合わせをどのように拒んだかなどの情報が明らかになりました。しかし、その事実関係について日本や米軍が認めることはほとんどないのです」