高校時代から鎬を削ったライバル同士の直接対決が、メジャーリーグの開幕に花を添えた。大谷翔平と藤浪晋太郎がプロ1年目の2013年以来10年ぶりに戦い、2打数1安打1打点をマークした大谷に軍配が上がった。
それにしても、よくぞ因縁の二人の対決が、開幕カードで実現したものだ。エンゼルスとアスレチックスは同じア・リーグ西地区のため、今季は13試合が予定されている。早くも4月末に再戦の可能性があり、両者先発の投げ合いも近いうちに見られそうだ。
この二人に限らず、今季は日本人メジャーリーガーの「直接対決」が見所になると語るのは、MLB研究家の福島良一氏だ。
「今季から全30球団が対決する試合の組み方に変わったため、日本人選手全員が直接対決する可能性があります。昨季までは別リーグの選手とは対戦しないこともありましたが、今季は同一リーグ・同一地区の対戦を19試合から13試合に減らし、インターリーグ(交流戦)を20試合から46試合に増やしたため、別リーグでも最低3試合は対戦することになったのです。背景には、別リーグに所属するスター選手の対戦を増やすことで野球人気を高める目的があります。特に投打二刀流の大谷はほぼ全試合に出場するため、全球団と対戦させれば話題を作りやすい。“新たな大谷ルール”ともいえます」
今季、侍メジャーリーガーはヌートバー、マイナー契約の筒香嘉智を含めて10人。大谷と同じア・リーグには6人いて、それぞれ6~13試合が組まれている。前述の藤浪のほか、レッドソックス・吉田正尚とは7試合、母校・花巻東高(岩手)の先輩であるブルージェイズ・菊池雄星とは6試合、対決のチャンスがある。
ナ・リーグの4人も3試合ずつ対戦するため、「初対決」に期待が高まる。
「WBCで共に戦ったダルビッシュ有、ヌートバーとはこれまで対戦がなく、実現すれば初対決となります。デビュー戦で5回8奪三振と好投したメッツ・千賀滉大との対戦も8月に控えています」
もうひとつの見所となるのが、今季終了後にFA権を取得する大谷の去就だ。
「最短で7月末のトレードの最終期限前に放出される可能性もあります。エンゼルスがポストシーズンに出場する可能性がなくなれば、FA権を行使される前にトレードに出して、将来有望な複数の若手を獲得する手も考えられるわけです。移籍先は資金力のあるメッツ、ドジャースなどが取り沙汰されています」