血圧は気になるが薬はリスクが気になり、運動は長続きしない──そうした向きに朗報なのが、高血圧専門医である国立大教授が考案、実践する「8秒ジャンプ」だ。
「ジャンプを運動療法に取り入れたのは5年ほど前から。当時54歳だった私は肥満体型で、内臓脂肪もたっぷり付いていました。縄跳びも1回でつまずく有り様で、老化防止とダイエットのために、『ただ跳ぶだけ』の運動を日課にすることにしたのです」
そう語るのは愛媛大学大学院抗加齢医学(新田ゼラチン)講座教授の伊賀瀬道也医師。自身の取り組みで“ただ跳ぶだけ”の運動が大きな血圧低下作用をもたらすことに行き着いた。
「最初は8秒ではなく、自分が跳べる範囲で続けました。すると、2か月で体重が2kg減り、さらに続けると、血圧にも変化が見られるようになったのです」(以下「 」内は伊賀瀬医師)
もともと家族性の高血圧で上(収縮期)が150を超えることも頻繁にあったというが、運動により血圧にどんな変化があったのか。
「ジャンプを始めてから、血圧は130程度に安定するようになりました。内臓脂肪も減り、体重は10kgほど落とすことができた。場所を選ばず手軽にできて、足腰を鍛えられる全身運動のジャンプに血圧を下げる効果がある──この運動療法を高血圧で悩む方たちへ提唱するにあたり、ラジオ体操のリズムに倣って8秒をワンセットにしたのです」
やり方はシンプルだ。
「背筋を伸ばして直立し、その場で真上に軽く跳んで床から数センチ浮けばOKです。8秒間に16回跳ぶリズム感(1秒間で2回ジャンプが目安)なら何セットでも構いません。音楽などを聴きながら、リズムよく楽しんで跳ぶのがポイントです」
血圧の高い人が一気に長い時間を跳ぶと逆効果になるため、「8秒」を小刻みに数セット行なうのが安全で、運動としてもそれで十分だという。
「ジャンプは高血圧対策として推奨される中強度の運動。有酸素運動と筋トレのダブル効果があり、降圧効果が大きいのです。運動効果も大きく、ジャンプを1日10分行なえば30分以上のウォーキングに匹敵する計算になります」