若くして銀幕のスターに上り詰めた松坂だが、あまりの美貌もあってかその演技力に対して懐疑的な声が上がることもあった。月刊『ぴんくりんく』発行人の太田耕耘キ氏もその1人だったが、ある朝ドラを見て、その考えを翻したという。
「松坂さんは映画『青春の門』や『蒲田行進曲』『火宅の人』など立て続けに主役級を張っていましたが、正直、私としてはあまり印象の残らない女優というイメージがありました。映画は面白かったけど松坂さんの記憶はあまり残らないというか……。でもびっくりしたのは朝ドラ『ゲゲゲの女房』で貸本屋の店主役で出た時のことです。
自分のみっともないところを他人に見せようとしない脇役の青年に対し、『心配させてよ!心配したいのよ!』と絞り出すように言うシーンがあったんです。そのシーンには心を打たれました。松坂さんは脇役での出演で、ドラマのサイドストーリーでしかないのですが、すごく強烈な印象を残してくれました。今回の朝ドラの演技にも期待したいですね」(太田氏)
どんな役柄を演じても作品に彩を添えてくれる大女優。これから続く朝ドラ『らんまん』の展開にも期待だ。
※週刊ポスト2023年4月28日号