4月23日投開票の衆参5補欠選挙と統一地方選後半戦は衆院解散戦略にも影響を与えるとして自民党が総力戦で挑んでいる。だが、岸田文雄・首相の腹の中はもう決まっているようだ。まるで “騙し討ち”ともいえる「6月解散」に向けて、着々と歩を進めていた。
「財務省の言いなりだ」
岸田首相には解散を急がなければならない理由がある。この秋には、増税議論が待ったなしになるからだ。
首相は昨年末に防衛費の増額と2024年度以降の「所得税」「法人税」「復興税」の1兆円増税方針を決めたが、閣内から高市経済安保相が反対の声を上げるなど自民党内の増税反対派の抵抗で増税の具体策づくりを今年秋に先送りした。その期限がやって来るのだ。
加えて、異次元の少子化対策に必要な年8兆円の財源も決めなければならない。
「消費税法では、消費税は年金、医療、介護と少子化の施策の費用にあてると定められている。少子化対策の予算を増やせば、消費増税の議論は避けられない」(財務省中堅官僚)
年8兆円の財源を消費税で賄うには税率を少なくとも13%に引き上げる必要がある。
いまは選挙向けの大盤振る舞いを宣伝しているが、秋になれば逆に少子化増税、防衛増税という国民負担増が前面に出てくるため、岸田首相が秋以降に解散を延期した場合、国民の増税批判を覚悟しなければならない。そうなると選挙敗北が見えてくる。政治ジャーナリスト・藤本順一氏が指摘する。
「秋に増税の議論が始まり、岸田首相は増税に前向きです。だからその前に解散・総選挙を打つつもりでしょう。しかも、総選挙では子育て対策などバラマキを前面に掲げ、増税には一切触れない“増税隠し解散”をやろうとしている」
その「増税隠し解散」を後押ししているのが財務省だという。