「僕は『賭ケグルイ』は強烈に実写化したいと考えていて、人に特化したキャラクターショーのようにしたかった。だから、キャストがキャラクターの“中毒ぶり”を掴んで、振り切って演じてくれることに賭けていました」(英氏)
そんな英氏の狙いに、浜辺は見事に応えた。
「ギャンブルのさなか、浜辺さんが『滾(たぎ)ってしまいます~!』と恍惚とした表情を見せるシーンがあるのですが、あの表情は、僕がお願いしたわけではありません。彼女なりに台本やキャラを解釈して、あんな素敵な表情を出してくれたのです。
彼女の凄いところは、ただ監督の言う通りに演じるのではなく、作品全体を考えて『こんな表情はどうか?』『ここはこういう動きをしたらどうか?』と提案し、それを体現してくれるところ。台本をきちんと解釈して自分のなかに落とし込める力は感心しました」
現在上映中の『シン・仮面ライダー』(監督・脚本/庵野秀明)で演じるのは、悪の組織・ショッカーに所属した過去を持ち、「私は他人を信じない」と断言する冷たさを持った役どころだ。しかし、仮面ライダー・本郷猛(池松壮亮)と共に戦うなかで、本郷を信じる気持ちが芽生えていく。英氏は、今作でも浜辺の“解釈力”が光っていたと語る。
「抜群に素敵でした。庵野さんの作品のヒロイン像に“どハマり”していました。浜辺さんが繰り返す『私は常に用意周到なの』という決め台詞もバチっと決まっていました。ものすごい成長ぶりで、随分と遠いところに行ってしまったという印象を受けました」
英氏が高く評価する浜辺だが、これまでには俳優業への苦手意識も明かしてきた。自身の世間的なイメージについて、過去にはインタビューで〈『君の膵臓をたべたい』のイメージが強いのかなと感じます。当時の人見知りで物静かな印象が強すぎて、「変わったね」と言われることも多々あるので、今もその作品と闘っているところはあると思います〉(「ORICON NEWS」2022年3月31日配信)と語ったこともある。そうしたコンプレックスを振り切り、浜辺が『らんまん』で見せる演技に期待したい。
取材/河合桃子