松本潤主演で話題を集めるNHK大河ドラマ『どうする家康』。時代劇研究家でコラムニストのペリー荻野さんが注目するのは、家康と阿部寛演じる武田信玄との“バトル”だ。ペリーさんが松本と阿部のシーンについて今後の注目ポイント解説する。
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一歩進んで二歩下がる? 本当にこのままで「神の君」になるのかよと心配になる大河ドラマ『どうする家康』の徳川家康(松本潤)。
先日の「金ヶ崎でどうする」で家康たちは、信長(岡田准一)の朝倉義景討伐に付き従い、越前・金ヶ崎にいた。越前ガニの美味さに感動し、例によって左衛門尉がえびすくいを踊っているが、なんのための戦かというモヤモヤもある。
一方、市(北川景子)は夫の浅井長政(大貫勇輔)が信長を裏切り、朝倉と挟み撃ちにしようとしていることを、兄信長に知らせることができない。市に恩義を感じる侍女の阿月(伊東蒼)は、自分が金ヶ崎まで走ると40キロの道を命がけで疾走。その知らせで軍勢を引き上げる決断をした信長だが、家康は大嫌いな秀吉(ムロツヨシ)に目をつけられてしまった。
後に「金ヶ崎の退き口」と呼ばれる退却戦で、「殿(しんがり)」を引き受けた秀吉。殿とは、退却軍の最後尾で追撃してくる敵軍と戦い、主君を無事に脱出させる役割だ。犠牲者も多く出すことになり、危険だが、成功すれば、主君からの信頼度がアップする。秀吉と家康が、金ヶ崎でどう動くのかは見ものだ。
そして、今後の家康の強敵となるのは、ご存知、武田信玄(阿部寛)。家康を「三河の小童」とみている信玄との激戦が、有名な「三方ヶ原の戦」だ。
史実で伝わる「三方ヶ原の戦」は、元亀三年(1572年)十月三日。西へと進軍を始めた武田軍によって徳川方は次々落城。家康は決戦の場は浜松城だと確信して、信長の援軍と待ち構えるが、なんと武田軍は浜松城を素通り。城に留まるか、打って出るか、まさに「どうする」の決断を迫られた家康が、三方ヶ原に至った時、そこには三万ともいわれる武田軍勢が鉄壁の「魚鱗の陣」で待ち受けていた。
ますます「神の君」が遠のくような展開で、阿部信玄の高笑いが聞こえてきそうだが、ここで家康がどう踏ん張るか。家臣たちの決死の働きぶりは、心に残るはず。しっかり見極めたいエピソードである。