スポーツ

力道山との縁を繋ごうと裏で奔走した「週刊誌記者」の涙ぐましい努力【力道山未亡人~元日航CA・田中敬子の数奇な半生~#22】

力道山の胸像の前で。右から2人目が森徹の母、信。左端が田中敬子

力道山の胸像の前で。右から2人目が森徹の母、信。左端が田中敬子

“日本プロレスの父”力道山が大相撲からプロレスに転向し、日本プロレスを立ち上げてから2023年で70年が経つ。力道山はすぐに国民的スターとなったが、1963年の殺傷事件で、39年間の太く短い生涯を終えた。しかし、力道山を取り巻く物語はこれで終わりではない──。彼には当時、結婚して1年、まだ21歳の妻・敬子がいた。元日本航空CAだった敬子はいま81歳になった。「力道山未亡人」として過ごした60年に及ぶ数奇な半生を、ノンフィクション作家の細田昌志氏が掘り起こしていく。第22話では動き出した2人の縁に裏で奔走した人の逸話を振り返る。【連載の第22回。1回から読む】 

 * * * 

22話「結婚願望」 

 国民的大スターである力道山の結婚話は、これまで幾度となく浮上してきた。本人もその意志を隠そうとしなかったし、1962年は、年明け早々結婚話が浮上している。 

「結婚したいと思っていることは事実です。年内にぜひやりたいというくらい、積極的に考えています。(中略)動機は二つある。一つは、去年の誕生日(1114日)に、こんなことを考えた。『オレももう37だ。40にもすぐ手がとどく。一方、子どものときから相撲、プロレスと、激しい勝負の世界で生きてきて、実業のようなものにも手を出した。その両方とも、この辺で一段落というところまではこぎつけたと思う。(中略)ここいらで身を固めなくちゃ』と、まあこう思ったわけです」(『週刊明星』1962年4月22日号) 

 また、こうも言う。 

「上の娘はことし山脇短大に入り、長男は慶応高校の二年、次男も森村学園の中等部に入っている……。(中略)子どもが小さいと、再婚にもいろいろむずかしい問題があるが、ここまで成長すれば、もうその心配もない。ぼくが結婚する気になった理由の一つはこれだ」(同) 

 また『週刊明星』は「ウワサの人は日航スチュア(ママ)デス?」という小見出しを付け、力道山の婚約者の存在を報じている。一見、田中敬子の存在かと思ってしまうが、この時点では二人はまだ出会っていない。 

「これは私じゃないんです。主人は私と出会う前に、日航のスチュワーデスの先輩とお付き合いしていたらしくて。それは主人が亡くなってから知ったんだけど」(田中敬子) 

 大洋ホエールズの主力打者である森徹の母、森信が、わざわざ札幌まで出向いて、田中敬子の写真を力道山に見せたのは19629月下旬。そのとき「リキさん、この人どう思う?」と訊くと、力道山は一瞬戸惑った表情を見せながら「この人何やってる人?」と訊き返した。「スチュワーデス」と答えると「信さん、この写真預かっていいかな」と言ったという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
【薬物検査どころじゃなかった】広末涼子容疑者「体を丸めて会話拒む」「指示に従わず暴れ…」取り調べ室の中の異様な光景 現在は落ち着き、いよいよ検査可能な状態に
NEWSポストセブン
運転中の広末涼子容疑者(2023年12月撮影)
《広末涼子の男性同乗者》事故を起こしたジープは“自称マネージャー”のクルマだった「独立直後から彼女を支える関係」
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
《病院の中をウロウロ…挙動不審》広末涼子容疑者、逮捕前に「薬コンプリート!」「あーー逃げたい」など体調不良を吐露していた苦悩…看護師の左足を蹴る
NEWSポストセブン
北極域研究船の命名・進水式に出席した愛子さま(時事通信フォト)
「本番前のリハーサルで斧を手にして“重いですね”」愛子さまご公務の入念な下準備と器用な手さばき
NEWSポストセブン
広末涼子容疑者(写真は2023年12月)と事故現場
《広末涼子が逮捕》「グシャグシャの黒いジープが…」トラック追突事故の目撃者が証言した「緊迫の事故現場」、事故直後の不審な動き“立ったり座ったりはみ出しそうになったり”
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者(2023年12月撮影)
【広末涼子容疑者が追突事故】「フワーッと交差点に入る」関係者が語った“危なっかしい運転”《15年前にも「追突」の事故歴》
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《中山美穂さん死後4カ月》辻仁成が元妻の誕生日に投稿していた「38文字」の想い…最後の“ワイルド恋人”が今も背負う「彼女の名前」
NEWSポストセブン
山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン