ライフ

症状に応じて治療が異なる「手指の障害」 重症化の場合は手術が必要なことも

変形性関節症で炎症がひどい場合にはステロイド注射を実施することも(イラスト/いかわやすとし)

変形性関節症で炎症がひどい場合にはステロイド注射を実施することも(イラスト/いかわやすとし)

 週刊ポスト連載「医心伝身」。前回記事で手指の障害は原因特定が重要だと伝えた。その主な原因は変形性関節症と腱鞘炎だが、治療は重症度によって異なる。軽症の変形性関節炎には保存療法を用い、効果が得られなければ骨の結合手術や人工関節置換術もある。腱鞘炎の治療は炎症抑制のステロイド注射を行なうが、頻繁だと腱が切れたりする。また手術の選択もあるが、術後の痛みは長期間にわたって続く。

 手指は“つまむ”や“ひねる”など多彩な動きを要求され、関節に大きな負担がかかる。特に母指(親指)は使用頻度が高く、母指CM関節(母指の甲の骨と、手首の小さい骨の間の関節)は使いすぎや加齢で変形関節症になると関節が緩み、亜脱臼するケースさえある。手指の変形性関節症はX線検査などで診断を行ない、2つ以上の関節が腫れている場合などは関節リウマチとの鑑別が欠かせない。

 そして、変形性関節症の治療は痛みや腫れ、変形箇所にテーピングや装具で安静を保つ保存的治療を行なう。炎症がひどい場合にはステロイド注射を実施することもある。

 前号に続きNTT東日本関東病院の大江隆史院長に聞く。

「保存的治療で効果が得られない変形性関節症は手術を行ないます。指の第一関節が障害されるヘバーデン結節は関節固定術を、第二関節に生じるブシャール結節の場合には人工関節置換術を実施し、母指CM関節症では関節固定術や関節形成術を行ない、機能の回復を図ります」

 へバーデン結節の関節固定術とは、痛みの元になる関節を固定して痛みを取る治療だ。骨同士を固定するので、関節は一定の角度のまま動かない。回復までに約45日を要する。

 ブシャール結節で行なう人工関節置換術は摩耗した軟骨や関節を金属やポリエチレン製の人工関節に置き換える治療で、痛みやぐらつきが減少する。通常の第二関節は90度以上曲がるが、人工関節は5年ほど経過すると可動域が60%程度に低下してしまう。

 母指CM関節症の関節形成術は骨同士が直接あたらないように途中の骨をひとつ抜く治療だ。指の動きは改善するが、痛みが消えるまで半年程度かかる。また術後10年ほどで抜いた骨の周囲の組織が縮み、指が短くなる。

 母指CM関節症治療として欧米では約10年前から人工関節置換術が実施され、機能回復に効果をあげているが、日本には使用できる人工関節製品がない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

28年ぶりの再会したCHA-CHA(撮影/小澤正朗)
【独占告白】あのCHA-CHAが帰ってきた!28年ぶりの再会ショット公開、発起人が語る「今のCHA-CHAを見せたい」理由と再始動への熱き思い
NEWSポストセブン
永野芽郁の不倫騒動の行方は…
《『キャスター』打ち上げ、永野芽郁が参加》写真と動画撮影NGの厳戒態勢 田中圭との不倫騒動のなかで“決め込んだ覚悟”見せる
NEWSポストセブン
阿部監督
岡本の負傷、坂本の起用、秋広のトレード…巨人が貯金ゼロで4位転落の緊急事態に大物OB・広岡達朗氏が苦言「1年目の阿部はよくやっていたが、だんだんダメになっている」
NEWSポストセブン
電撃の芸能界引退を発表した西内まりや(時事通信)
《西内まりやが電撃引退》身内にトラブルが発覚…モデルを務める姉のSNSに“不穏な異変”「一緒に映っている写真が…」
NEWSポストセブン
山本アナは2016年にTBSに入局。現在は『報道特集』のメインキャスターを務める(TBSホームページより)
《TBS夜の顔・山本恵里伽アナが真剣交際》同棲パートナーは“料理人経験あり”の広報マン「とても大切な存在です」「家事全般、分担しながらやっています」
NEWSポストセブン
入院された上皇さまの付き添いをする美智子さま(2024年3月、長野県軽井沢町。撮影/JMPA)
美智子さま、入院された上皇さまのために連日300分近い長時間の付き添い 並大抵ではない“支える”という一念、雅子さまへと受け継がれる“一途な愛”
女性セブン
交際が伝えられていた元乃木坂46・白石麻衣(32)とtimelesz・菊池風磨(30)
《“結婚は5年封印”受け入れる献身》白石麻衣、菊池風磨の自宅マンションに「黒ずくめ変装」の通い愛、「子供好き」な本人が胸に秘めた思い
NEWSポストセブン
西内まりやがSNSで芸能界引退を発表した(Aflo)
《西内まりやが芸能界引退へ》「自分らしい人生を見つけていきたい」理由のひとつに「今年になって身内がトラブルを起こしていることが発覚」【自身のインスタで発表】
NEWSポストセブン
出演しているCMの画像や動画が続々と削除されている永野芽郁
《“二の矢”で一気に加速》永野芽郁、止まらない“CM削除ドミノ”  旬の著名人起用で“チャレンジ”続けてきたサントリーからも消えた 永野にとっても大きな痛手に
NEWSポストセブン
真剣交際が報じられた犬飼貴丈と指原莉乃(SNSより)
《仮面ライダー俳優・犬飼貴丈と真剣交際》“芸能界の財テク王”指原莉乃の「欲しいもの全部買ってあげる」恋愛観、私服は6万超え高級Tシャツ
NEWSポストセブン
母の日に家族写真を公開した大谷翔平(写真/共同通信社)
《長女誕生から1か月》大谷翔平夫人・真美子さん、“伝説の家政婦”タサン志麻さんの食事・育児メソッドに傾倒 長女のお披露目は夏のオールスターゲームか 
女性セブン
奥本美穂容疑者(32)の知られざる”アイドル時代”とは──(本人SNSより)
《フリフリのセーラー服姿》覚せい剤で逮捕の美人共犯者・奥本美穂容疑者(32)の知られざる“病み系アイドル時代”【レーサム元会長とホテルで違法薬物所持の疑い】
NEWSポストセブン