男性の罹患者数が全がん中トップの前立腺がんは、検査を受ける病院選びも大切となる。
「『PSA検査』は精度が高く何かしらの異変が発見されやすい分、不要と考えられる手術につながることも多い。前立腺がんの手術後は尿漏れやEDでQOLが下がりやすいので、60代までは手術を無理強いしない病院で検査を受けて、特に悪化しなければ70歳以降は検査をやめるのも手です」(上医師)
肝臓がんはアルコールの摂取やB型、C型肝炎の罹患が発症リスクに関わる。
「肝臓がんの発症リスクが低い人なら、安価で手軽な『腹部エコー』を1年に1回受けるだけでもいいでしょう。より詳しく調べたければ精度の高い『腹部CT』を組み合わせればOK。リスクのある人は医師と相談しこまめに検査。リスクがなく異常が見つからなければ、75歳以降はやめる判断をしてもいい」(谷本医師)
脳梗塞やくも膜下出血、心筋梗塞といった血管系の病気の検査についてはどう考えるべきか。秋津壽男医師(秋津医院院長)は「動脈硬化のリスクが高まる50歳以上の人は、血管系の検査を1度は受けるといいでしょう」と語る。
「50歳以上なら『頭部MRI/MRA』『心臓MRI』を1回受けてみて、異常の有無でその後の考え方が異なります。動脈瘤などが見つかれば医師の助言に従って以降の検査を受ける。何もなければその後の検査は不要です。ただし、糖尿病や高血圧など2つ以上の生活習慣病を発症したら、その時点で再度検査を受けましょう」
年齢などによって不要と考えられる検査がある一方、「目と歯の検査はできるだけ受け続けたほうがいい」と谷本医師。
「緑内障は自覚症状が少なく、失明の原因になってその後の生活に大きな影響が出る。歳を重ねたら毎年検査を受けたい。また、動脈硬化や認知症など全身に関係する歯の健診も悪化する前に定期的に受け、早めに治しておきましょう」
どの検査をいつまで受けるか正しく見極めなくてはならない。
※週刊ポスト2023年4月28日号