芸能

稲垣吾郎が発案した“幻の作品”。「稽古中もいちゃいちゃしてました」というシーン

『サンソン―ルイ16世の首を刎ねた男―』【東京公演】 2023年4月14日(金) ~ 4月30日(日)東京建物 Brillia HALL、【大阪公演】 2023年5月12日(金) ~ 5月14日(日)オリックス劇場、【松本公演】 2023年5月20日(土) ~ 5月21日(日)まつもと市民芸術館 主ホール

『サンソン―ルイ16世の首を刎ねた男―』【東京公演】 2023年4月14日(金) ~ 4月30日(日)東京建物 Brillia HALL、【大阪公演】 2023年5月12日(金) ~ 5月14日(日)オリックス劇場、【松本公演】 2023年5月20日(土) ~ 5月21日(日)まつもと市民芸術館 主ホール

 稲垣吾郎主演の舞台『サンソン-ルイ16世の首を刎ねた男-』(以下・『サンソン』)が話題だ。東京公演は連日大盛況、リピーターや大阪、松本公演へと遠征する人も多い。実力と人気を兼ね備えた俳優がズラリと並び、ファンにとってはもちろん、待望の舞台である理由は“幻の作品”でもあるから。2021年4月に上演が始まったものの、コロナ禍の影響で、上演は数回で中断してしまったのだ。

 今回、観劇したライター・沢木文が、「終演後も胸がいっぱいで震えた」というほどの魅力をレポートする。

* * *

 

実在の死刑執行人を演じる稲垣吾郎。

実在の死刑執行人を演じる稲垣吾郎。

 作品の舞台は、名作マンガ『ベルサイユのばら』(池田理代子・著)でも知られるフランス革命の動乱期。稲垣が演じるのは、実在した死刑執行人であるシャルル=アンリ・サンソン。サンソンは、斬首台・ギロチンを開発したことや、国王・ルイ16世の死刑(斬首刑)を執行したことでも知られる。

 サンソン家は代々、死刑執行人という職業を世襲している。死は生物にとって等しい恐怖である。法や社会秩序を守る番人として死刑執行人がいる。その誇りがありながらも、人を死に至らしめるという“穢れ”を引き受けている。

 稲垣は「最初にサンソンを知ったのは、サンソンの伝記的なマンガ『イノサン』(坂本眞一・著)でした。歴史の教科書ではなく、裏舞台に興味を持ち、舞台化を発案したのです」と記者会見で明かしている。

 稲垣がそれほどにかき立てられ、自ら初めて舞台化を希望したという作品。近年は舞台俳優としても評価が高まっている稲垣の舞台で記憶に新しいのは、2015年初演で再演もされている『NO.9-不滅の旋律-』だろう。『サンソン』と同じ、演出・白井晃、脚本・中島かずき(劇団☆新感線)の白井組作品だ。

「僕はお二人との作品は、何度でも再演を重ねたいと思っています。命続く限り、何度でも」とパンフレットにも書かれている。

『NO.9-不滅の旋律-』で稲垣は狂気と運命の作曲家・ベートーヴェンの葛藤を鬼気迫る迫力で演じていた。そして『サンソン』も死刑執行人であり約3000人の首を刎ねながら、自身は死刑廃止論者という葛藤を抱えるサンソンを演じている。そう、稲垣は“葛藤”が似合う俳優なのだ。

人気マンガを舞台化したいと稲垣自ら発案した。

人気マンガを舞台化したいと稲垣自ら発案した。

『サンソン』が扱うテーマは死だ。舞台の幕が上がるとき、どの舞台にも特有の緊張感と圧力があるが、この作品は特に強い。俳優の情念、観客の期待が緞帳に張り付いているような雰囲気もあり、それが不思議と心地よかった。

 暗闇の中に稲垣が立つ。ギロチンを彼が開発する前、サンソンは剣で罪人の首を刎ねていた。罪人に苦しみを与えぬために、ストイックな鍛錬を重ね自らの命も削る。恩人であろうが冤罪であろうが法が「死刑」と決めれば、それを執行しなければならないのだ。

関連記事

トピックス

氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
公益通報されていた世耕弘成・前党参院幹事長(時事通信フォト)
【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
週刊ポスト
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン