「関ジャニ∞」の横山裕主演のドラマ『帰ってきたぞよ!コタローは1人暮らし』(テレビ朝日系)。毎回放送が終わるたびに、SNSでは「毎回泣いてる」「狩野殿とコタローちゃんに元気をもらう」「ほっこりする」など盛り上がりを見せている。
横山演じる売れない漫画家・狩野の住むアパートに、ワケありな1人暮らしの5歳児・コタローが引っ越してきた。そこから、ふたりとアパートの住人たちが織りなす“日本一優しい”ハートフルコメディだ。
前作は2021年にオシドラサタデー枠で放送され、同枠歴代最高視聴率を記録。原作の漫画『コタローは1人暮らし』(津村マミ・著)は、累計発行部数170万部を突破、2022年にはNetflixでもアニメ化され、全世界に配信された話題作だ。
ファンも待ち望んでいたテレビドラマとして2年ぶりの続編。前作からこのドラマに注目しているライター・前川亜紀は「一見ほっこりした中に、実は社会問題をさりげなく提起している。でも見終わった後も重くならず気持ちがちょっと上がるので見逃せない」と分析する。
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続編は、前作で5歳児だったコタロー(川原瑛都)が、小学校に進学したところから始まった。コタローも成長し、少年らしくなっている。ただ、慇懃な“殿様語”は全く変わらない。
変わらないのは、コタローが暮らす「アパート清水」の大人たちもだ。売れない漫画家・狩野進(横山裕)、純喫茶「ピュアウォーター」で働く元キャバ嬢・秋友美月(山本舞香)、ガラの悪い見た目だが実は子ども好きな田丸勇(生瀬勝久)、アパートの大家さん(イッセー尾形)……。2年の歳月を経ても、誰一人正規雇用されることもなく、相変わらず不安定な生活をしている。食べるには困らないが、明日と同じ今日が来る保証はどこにもない。これは日本の縮図とも言えるだろう。
ただ、そこには悲壮感は全くない。あるのは温かで穏やかなつながりだ。親子や親戚恋人や夫婦のような強固な連帯ではなく、尊重といたわりがある距離感……いわば“家族未満”といえる空気が変わらずに流れており、作品の心地よさは増している。その環の中心にいるのは、横山裕演じる漫画家の狩野だ。
大人じみた風変わりな子供・コタローを、狩野は親でも親戚でも友達でもない距離感で見守っている。他の人とは異なる“ひとさじの親密さ”。コタローもそれを感じとり、狩野に甘え、時にはワガママを言うのだ。