春は自転車利用者が増える時期だという。子供を電動アシスト自転車にのせて歩道を爆走するママチャリや、歩行者のすぐ脇を無理にすり抜けていく配達員にヒヤリとしたことはないだろうか。
「自転車業界には、3~4月に新しい自転車が売れる“春需”があります。そして、転居先等でまだ慣れないうちに事故を起こすというのが例年よくあるパターンです。そのため、5月が一年で最も自転車事故が多い月になります」
と話すのは、自転車活用推進研究会理事長の小林成基さんだ。
「自転車が絡んだ交通事故死亡者は、1970年の時点で約11%でした。それが2021年は約13%。交通事故の中で、自転車が絡む事故の割合が確実に増えています」(小林さん・以下同)
自転車ルールは年々強化。昔の感覚は通用しない!
警察の取り締まりが強化されているのが近年の特徴で、昨年10月以降は悪質な違反に「赤切符」が切られるようになった。
自動車やオートバイによる交通違反には通称「青切符」や「赤切符」(※)が切られるが、自転車は次の2種類だ。
【1】黄色の「自転車指導警告カード」(いわゆる「イエローカード」)
【2】赤色の「違反切符」
自転車には青切符がなく、注意で済まない重い交通違反を犯したら、即、赤切符が切られることになる。
「赤切符は刑事罰で、起訴されれば懲役や罰金刑、前科がつく場合もあります。裁判所に出頭する必要があり、罰金刑になれば、パートなどに応募する際の履歴書の賞罰欄に違反歴を書かざるを得なくなります。
こうした流れに加えて、この4月1日から自転車ヘルメット着用が“努力義務化”されました。現時点で罰金こそないものの、かぶらないと確実に違反になります」
車のシートベルト着用や50ccバイクのヘルメット着用は、最初は罰則なしの義務化だったのが後に罰則付きになったが、事故が減らなければ同じ流れになりそうだ。
自転車ルールは厳罰化が進む。軽い気持ちでルール違反を犯すと大変なことになる。
(※「青切符」の正式名称は「交通反則告知書」。駐車違反、一時停止違反等の比較的軽微な違反に科される。「赤切符」の正称は「告知票・免許証保管証」。重い違反者に科せられ、免許が停止あるいは取り消され、前科がつくことも)