国内

【和田秀樹さん×坂東眞理子さん・対談】後半生をどう生きるか「年を取ったからと自らに縛りを作るのはよくない」

和田さんと坂東さん

和田秀樹さんと坂東眞理子さんが初対談

 21万部を超えるベストセラーとなった坂東眞理子さんの『70歳のたしなみ』刊行から4年、書き下ろしの新章を加えた文庫版が5月2日に発売される。そこで昨年もっとも読まれた『80歳の壁』の著者で医師の和田秀樹さんと初対談。ともに年を重ねてますます活躍を続ける秘訣、長い後半生をどう生きるかについて、語ってもらった。【前後編の前編】

 * * *
坂東:和田先生は昨年から日本大学の常務理事に就かれて、これまで以上にお忙しくなられたでしょう。

和田:日大の関連で週3日は会議漬けの生活になりました。今日も午後から会議だったんです。60歳になると“人生そろそろ引き際かな”なんて考え始める人もいますが、ぼくは62歳でいわゆる定職に就きました。38歳で常勤の医者をやめてずっとフリーでやってきたので、組織に属するのはなんと24年ぶり。ベストセラーが出たのも60歳になってからですから、人生、わからないものですよね。

〈2022年の年間ベストセラー総合第1位になったのは和田さんの『80歳の壁』。第8位にも『70歳が老化の分かれ道』がランクイン(日販調べ)するなど、和田さんが高齢者に向けて綴った本が続々と発売されている。最新刊『不老脳』も発売早々ベストセラーに〉

坂東:本当にそうですよ。私の『女性の品格』も60歳のときでしたが、かつての人生70年時代の年齢感覚でいてはいけないと痛感しますね。

 実は私の方は今春から、理事長を退任して総長に専念し、こども園から大学院までの教育に携わるという新しいスタートを切ったところです。

〈坂東さんは『70歳のたしなみ』で、70代を《新しいゴールデンエイジ—人生の黄金時代である》と位置づけ、《かつては60歳が還暦として現役を退く人生の節目とされたが、今は70歳が人生の節目であり、次のステージがはじまる出発点になるのではないか》と綴った。しかし、実際には60代どころか、40代、50代でも、新しい環境に踏み出すことを恐れる人が多いのではないだろうか〉

和田:ぼくは環境を変えることに抵抗はありませんでしたが、適応するのは思っていたよりも大変だということはわかりました(笑い)。これまでフリーとして勝手気ままにやってきたけれど、いまはそれなりに人に気を使い、人を上手に説得していかないとならない。慣れないことの連続で、なんだかちょっといままでとは違う自分になった気もしているくらいなんです。

坂東:それは面白い。私が公務員から大学という新しい世界へ飛び込んだのは57歳でしたが、やったことのないことに挑戦することは守備範囲が広がりますし、ワクワクします。まぁ組織の運営に携わると現場と衝突もしますし、何かとご苦労も尽きないとは思いますが……。

和田:そこはもう腹を括ってどんなことも諦めない、へこたれない、の精神でコツコツやっています。

坂東:私は困難に直面したら、それは自分の限界が試されているのだと考えるようにしています。「できるかどうか、チャレンジする機会が与えられた」とポジティブに考え、経験がないことでもまずはやってみる心意気を大切にする。新しい経験は自分の目標にもなりますし、その挑戦が社会の役に立つこともあります。

和田:「年を取ったらもうダメ」と自粛しては、何事もダメですよね。

坂東:そうですよ。人間、いくつになったって“まだまだ未熟、まだまだ成長”と思わないと。私は次の誕生日で77歳ですが、喜寿なんて、昔はとても年寄りに感じていたんです。でも、自分がその年齢になってみて、想像と全然違っていたなとつくづく思います。

 私たちが新卒で採用された時代は公務員の定年が55歳で、「あんなにおじいちゃん、おばあちゃんになってまで働くのか」なんて思っていたのに(笑い)、こうして70代のいまも働いている。60代なんて、「まだまだ若い。人生これからですよ」と心の底から思います。

 お声がかかるうちはあれこれ考えずに、まずはやってみればいいですし、お声がかからなかったら手を挙げればいいんですよ。

和田:そうなんですよね。高齢者専門の医師として35年間で6000人以上診てきましたが、かつての70代はそれなりにヨボヨボしていましたが、いまの70代は坂東先生をはじめ現役時代と変わらず活躍されているかたが増えています。

 そもそも、90歳のおじいさんだって、91歳というのは経験したことがないんです。結局のところ、自分がこの先どうなっていくかはいくら年を重ねても、その年になるまでわからないわけで、あれこれ先回りして考えるより、日々を充実させることが大事だと思いますね。

坂東:前人未踏というか、これまでの世代の生き方が参考にできないので、みんな悩んでいるのを感じます。

関連キーワード

関連記事

トピックス

真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン
19年ぶりに春のセンバツを優勝した横浜高校
【スーパー中学生たちの「スカウト合戦」最前線】今春センバツを制した横浜と出場を逃した大阪桐蔭の差はどこにあったのか
週刊ポスト
「複数の刺し傷があった」被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバムと、手柄さんが見つかった自宅マンション
「ダンスをやっていて活発な人気者」「男の子にも好かれていたんじゃないかな」手柄玲奈さん(15)刺殺で同級生が涙の証言【さいたま市・女子高生刺殺】
NEWSポストセブン
ファンから心配の声が相次ぐジャスティン・ビーバー(dpa/時事通信フォト)
《ハイ状態では…?》ジャスティン・ビーバー(31)が投稿した家を燃やすアニメ動画で騒然、激変ビジュアルや相次ぐ“奇行”に心配する声続出
NEWSポストセブン
NHK朝の連続テレビ小説「あんぱん」で初の朝ドラ出演を果たしたソニン(時事通信フォト)
《朝ドラ初出演のソニン(42)》「毎日涙と鼻血が…」裸エプロンCDジャケットと陵辱される女子高生役を経て再ブレイクを果たした“並々ならぬプロ意識”と“ハチキン根性”
NEWSポストセブン
山口組も大谷のプレーに関心を寄せているようだ(司組長の写真は時事通信)
〈山口組が大谷翔平を「日本人の誇り」と称賛〉機関紙で見せた司忍組長の「銀色着物姿」 83歳のお祝いに届いた大量の胡蝶蘭
NEWSポストセブン
20年ぶりの万博で”桜”のリンクコーデを披露された天皇皇后両陛下(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA) 
皇后雅子さまが大阪・関西万博の開幕日にご登場 20年ぶりの万博で見せられた晴れやかな笑顔と”桜”のリンクコーデ
NEWSポストセブン
朝ドラ『あんぱん』に出演中の竹野内豊
【朝ドラ『あんぱん』でも好演】時代に合わせてアップデートする竹野内豊、癒しと信頼を感じさせ、好感度も信頼度もバツグン
女性セブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
《実兄が夜空の下で独白》騒動後に中居正広氏が送った“2言だけのメール文面”と、性暴力が認定された弟への“揺るぎない信頼”「趣味が合うんだよね、ヤンキーに憧れた世代だから」
NEWSポストセブン
高校時代の広末涼子。歌手デビューした年に紅白出場(1997年撮影)
《事故直前にヒロスエでーす》広末涼子さんに見られた“奇行”にフィフィが感じる「当時の“芸能界”という異常な環境」「世間から要請されたプレッシャー」
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下は秋篠宮ご夫妻とともに会場内を視察された(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA) 
《藤原紀香が出迎え》皇后雅子さま、大阪・関西万博をご視察 “アクティブ”イメージのブルーグレーのパンツススーツ姿 
NEWSポストセブン
2024年末に第一子妊娠を発表した真美子さんと大谷
《大谷翔平の遠征中に…》目撃された真美子さん「ゆったり服」「愛犬とポルシェでお出かけ」近況 有力視される産院の「超豪華サービス」
NEWSポストセブン