「健康にいいといわれているから」「有名人がすすめているから」。それだけの理由で、毎日の食事メニューを選んでいる人もいるかもしれない。しかし、それらが根本的に間違っていたら──ちょっとした食べ物の組み合わせや食べ方で栄養素は激減し、最悪、体に毒を生むこともあるという。
5月の健康診断に向け、食生活を見直していた都内在住の会社員A子さん(53才)に、悲劇が起きたのは4月上旬のことだった。
「日頃から便秘と下痢を繰り返すので食事を改善しようと思い、腸にいいと聞いた大豆と食物繊維が多いひじきを煮物にして毎日食べるようにしたんです。ところが治るどころか、ひどい腹痛にたびたび襲われるようになり、さらに調子が悪くなりました。原因として思い当たる節がなく、当惑しています」
A子さんを苦しめた原因は、「健康によい食品」そのものかもしれない。
「いくら健康によい食べ物だったとしても、その組み合わせ次第では“毒”になることもあるんです」
そう話すのは、食品の相性に詳しい食物栄養学博士の白鳥早奈英さんだ。
「大豆とひじきの組み合わせは『けいれん性便秘』を引き起こす可能性があります。腸が過敏な状態でけいれんを起こし、便秘と下痢を繰り返すタイプの便秘です。大豆は腸を活性化させる働きを持つ成分『サポニン』を大量に含み、ひじきは便通を促す効果のある食物繊維を多く含むので一緒に食べると過敏な腸をさらに刺激してしまう。その結果、激しい腹痛が生じることがあります」(白鳥さん)
健康のために栄養価の高い食品を選んだとしても、「一緒に食べた食品」次第では逆効果となるのだ。
「人間関係に相性があるように、健康によい食材同士にも“合う、合わない”があります。食べ合わせによっては栄養の効果が相殺されたり、過剰摂取になって体調不良を起こすケースがあります」(白鳥さん)
どの食べ合わせが、なぜ危険なのかを知ることが、体を守ることにつながるのだ。