『ルパン三世 カリオストロの城』のクラリス、『風の谷のナウシカ』のナウシカ、『めぞん一刻』の音無響子……。声優・島本須美さん(68)は、昭和アニメ史に残る名ヒロインの数々を演じてきた。高知県から上京し、役者の世界に飛び込んで40年以上。声優養成所で講師を務めることもある島本さんが、自身の半生と、現在の声優業界について語った。【前後編の後編。前編から読む】
25歳までに芽が出なかったら諦めると上京
──清楚なヒロイン役の印象が強い島本さんですが、実際の性格はどのように言われることが多いですか?
家族からは「マイペース」と言われますね。私、やりたいことがたくさんあるんですよ。だから退屈する暇がありません。本も読みたいし、本がなければ人間観察したり妄想したり、歩くのも好きだし。最近は神社にハマっているから、行った先で「この近くに神社はないかな?」と自然と気になっちゃう。やりたいこととやらなきゃいけないことがいっぱいあって、1日24時間じゃ足りません。
──島本さんは子どもの頃から声優志望だったんでしょうか?
いえいえ、中学のときは体操部だったんですが、高校に体操部がなかったもので、なんとなく「やってみたいな」と感じた演劇部へ。それがすべての始まりですね。高校入学してすぐ体力測定があって、ソフトボール投げで50メートル飛んだんですよ。そしたら「日本一のピッチャーになれる!」ってソフトボール部から勧誘が来ました(笑)。そこでソフトボール部に入っていたら、どこかの銀行に就職して、今ごろ普通のお母さんだったんじゃないでしょうか。そういう人生の分岐点って、きっと誰しもあると思います。