「いま一番やりたいこと」

晩婚について語った小田井さん

晩婚についても熱く語った小田井さん(続きは後編で)

 じゃあ、今、僕が一番、何をやりたいかというと、旅もののロケ、リポーターです。「純烈」にいた頃から、旅番組とかに出させてもらいました。その放送を見ると、自分がすごく楽しそうだったんですよね。かつて全国を公演で回っていたときも、その土地でファンの方とふれ合うのがすごく楽しかったんです。

 新潟でお祭りのイベントに出たとき、会場のファンの方を特設ステージにあげて、僕らが歌うマイクを持ってもらって、マイクスタンドの代わりを務めてもらったことがありました。ところが、僕の前で僕のマイクを持ってくれていた方を、あるときから見なくなったんですね。それで、聞いたら亡くなった、と……。ファンの訃報は、毎年のようにあちこちで聞きました。高齢の方に向けたエンタメを提供していた「純烈」にとっては、宿命だったかもしれません。

 でも、そのとき、亡くなったと聞いた方は、僕がそのときお姫様抱っこした思い出をすごく喜んでくれて、写真を見せながら何度も話題にしていたそうなんです。遺影の写真も、胸元に大きく「純烈」と書いたTシャツの写真を使ったとか。家族もその方が「純烈」のファンだったことを受け入れてくれていた、ということですよね。その話を聞いて、亡くなったのは悲しいけど、晩年の一番の思い出を作ってあげられたのかな、自分の親ではないけど親孝行をしてあげられたのかな、と嬉しい気持ちになりました。

 そんなこともあって、ソロになった今は旅ものに力を入れ、『小田井涼平のあい旅』(BSJapanext)という番組や『小田井の今、佐賀にいます。』(サガテレビ)という情報番組のコーナーで、レギュラーをやらせていただいています。実際にやってみて間違ってなかった、と思います。すごく楽しいんですよ。天職かもしれん、と思うぐらいです。

 この春、『かんさい情報ネットten.』(読売テレビ)という情報番組の月曜コメンテーターのお仕事も始まりました。コメンテーターは世間の批判と闘いながらやらなければならない、リスクを背負っている難しい仕事。 世の中には、政治・経済の話にそこまで詳しくない人もいると思うんです。だから、僕はそういう視聴者の目線で皆さんと一緒に勉強しながら、質問を投げかけたりしていきたいです。

 卒業は体力的にしんどかった、という理由もあったのに、ソロになってからたくさんオファーをいただき、何のために卒業したのか、と卒業直後は思いました(笑)。ただ、今は頭を使う大変さの方が大きい。ロケは聞かなければならないこともあるし、相手の魅力を引き出さないといけないですから。ミュージカルみたいに、初めての挑戦もあります。やってみないと本当に好きかどうかわからない。なので、オファーいただいたらまずはやってみる、という姿勢で臨んでいます。

 人生100年として、今、52歳なので半分過ぎました。せっかく1人になったので、これまでとは少し違った視点で仕事をやっていきたい。自分が興味をもったもの、好きなことを突き詰めて仕事に変えられたらいいな、と思っています。理想は所ジョージさんやヒロミさん、木梨憲武さん。60、70歳になったとき、安い土地に自分のガレージを持って、ラジコン走らせたり、アメ車のシボレー・カマロをレストア(劣化の激しい旧車を新車のように復元すること)して乗り回したりして、それが仕事になったら最高ですね!

後編に続く

取材・文/中野裕子 撮影/亀和田良弘

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