今シーズン、不振にあえぐ原辰徳監督(64)率いる巨人軍。更迭論まで飛び出すなか、問題となるのはその“後継者”だ。阿部慎之助ヘッドコーチ(44)の昇格が既定路線といわれていた一方で、巨人やヤンキースで活躍した松井秀喜氏(48)の監督就任への待望論が球団関係者のなかで高まっている。松井氏を動かすことができる数少ない人物として挙げられるのが恩師の長嶋茂雄氏だが、さらにもひとり重要な人物がいるという──。【前後編の後編。前編から読む】
長嶋氏のほかにキーパーソンと目される人物がもう1人いる。それが巨人OBで、横浜DeNAの初代監督を務めた中畑清氏(69)だ。ある在京の球団関係者が語る。
「実は中畑と松井は昵懇の仲なんです。松井が入団した時の打撃コーチが中畑で、新人時代は連日のように中畑家を訪れて、地下室で特訓した。その時に食事の世話をしていたのが中畑夫人の仁美さん(2012年12月に子宮頸がんで逝去)だった。2015年のDeNAキャンプで松井が3日間の“臨時コーチ”をしたが、ヤンキースと巨人以外で松井が訪問したのは横浜だけ。
松井は“中畑さんの世話にはなっていないが、奥様にはお世話になったので恩返ししただけ”と説明したが、2012年オフにもDeNAの監督就任を祝う会に長嶋さんと一緒にサプライズゲストとして登場した。長嶋さん以外でここまで心を許すのは中畑だけです」
松井氏に指導者として巨人のユニフォームを着させられるとすれば「長嶋氏と中畑氏が話すしかない」とこの関係者は強調する。
「松井が応じて監督になってくれれば理想だが、その前段階として中畑監督、松井ヘッドを実現させる方向性もあり得る。そのうえで松井監督に移行できればという二段構えの道筋です」(同前)
巨人では2016年に引退した高橋由伸氏(48)が、引退してすぐ監督に就任した例があるが、V9戦士である球団OBの城之内邦雄氏はこう語る。
「巨人の伝統を知っている松井に監督をやってもらいたいが、そのためにはしばらく日本で野球を見てもらいたい。たまに来ているだけでは反対の声を抑えることはできないだろうからね。2~3年コーチをやったうえで監督をやるのがいい」
就任への期待は高いが、「現実的ではない」との指摘もある。野球評論家・江本孟紀氏が言う。
「松井は監督として類い希な“器”だと思うが、この話は成績が悪くなると出てくる“恒例行事”です。阪神の掛布(雅之)監督待望論みたいなもんでしょう」