スピリチュアリストとして活動を開始して今年で35年。江原啓之さんは、人の悩みと向き合い、斯界の第一人者として直言を続け、本誌・女性セブンでも折々に登場していただいてきた。「時代は変わっても人の悩みは変わらない」と言う江原さんだが、年を経るごとに悩みの数が増えている実感を持つ人も多いのではないか。私たちはこれからどう生きていけばいいのか。来年還暦を迎える江原さんは、創刊60周年を迎えた女性セブンと“同世代”。そんな江原さんに、これまでの人生を振り返ってもらいながら、私たちの生きる道標を尋ねた──。【前後編の後編。前編から読む】
江原さんが霊能者としてスピリチュアルという言葉を使い始めた頃に比べると、この言葉はずいぶん一般的になった。2011年の東日本大震災で多くの命が失われた後には、霊的な現象を体験した人の証言が数多くあり、科学では説明できない事象に救われた人も多いことについて、ノンフィクションとして描いた作品も発表されている。
「スピリチュアリズムに関しては、若い人の方が柔軟に受け入れている気がします。何を信じていいかわからない、というところがいまの若い人にはあると思うんです。世の中は混迷していて、哲学や、考え方の軸をほしいと思っている。私のテレビが終わって15年ぐらい経ちますけど、YouTubeにアップされているらしくて、時々『がんばってください』と若者に声をかけられますよ」
40歳が「不惑」の年といわれるけれど、50になっても、60になっても惑いは続く。生きる悩みは若者だけのものでもない。
「私の携帯サイトの会員は50代のかたがいちばん多くて、その次が60代。私も来年60ですけど、昔の60代って結構年寄りのイメージでしたが、いまの60代ってまだまだ若くて活動的ですよね。社会に求められることも、求めることもまだまだ多いし、そのことでプラスもマイナスもあります。だからこそ不満も多くなる。
女性読者のかたも、人間関係の悩みはいつまでも尽きないかもしれませんが、ある意味、若々しく生きるためのエクササイズみたいなものと捉えたらいいんじゃないですか。今日も隣の奥さんとバシバシやったけど、『エクササイズだしね』と言えたらすごくかっこいいですよ」
これを言ったら「パワハラ」と言われるんじゃないだろうか、と考えてしまい、人に対してなかなか注意も説教もしにくい世の中だが、江原さんは思ったことをきちんと言う。
「うちに来る人はどちらかというと叱られたくて来る人が多いという事情もありますけどね。いまは叱られる場所がないからはっきり言ってもらいたい人の方が多いかもしれないですね。どんなに時代が変わっても講演で私がお小言を言うポイントというのがあって、それは『権利を主張して義務を果たさず、ではダメですよ』ということ。
橋田先生の『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)がウケたのも、あれは家族の縮図で、みんなが『うちと同じ』と思えるからですけど、舅がケチだって言う人には、だけどあなた家に住まわせてもらってるじゃない。一緒に暮らす子供の文句を言う人には、だったら離れればいいじゃない、自分でわざわざがんじがらめになることはないのにって言います」