日本維新の会元代表の松井一郎・前大阪市長が代表を務める資金管理団体「松心会」が、会計責任者A氏が辞めた後も、事務担当者がその人物の同意なく印鑑を使い、署名を代筆して政治資金収支報告書を提出するという違法行為を20年近くにわたって続けていた疑惑が発覚した。
本誌・週刊ポストは5月8日発売号でこの疑惑について報じた上で、政治資金に詳しい上脇博之・神戸学院大学法学部教授の「こうした行為は政治資金規正法違反の『虚偽記載』に該当し、刑法の有印私文書偽造の罪に問われる可能性もある」という指摘についても紹介した。
同記事内で、松井事務所は会計責任者A氏の同意がないまま署名代筆と捺印を行なってきた事実を認めた上で、「政治資金規正法上の問題はないと考えている」と話している。
政治家の間に“どうせザル法なんだから、違反してもどうにでもなる”という政治資金規正法軽視の風潮が蔓延しているのだろうか。最近、松井氏のような事例が相次いでいる。
記憶に新しいのが、昨年末に国会で問題化した寺田稔・前総務相の“故人署名”疑惑だ。寺田氏の関係政治団体「寺田稔竹原後援会」が、すでに亡くなって署名できないはずの会計責任者の署名、捺印がある政治資金収支報告書を提出していたという疑惑だ。政治資金を所管する総務大臣の疑惑とあって国会で厳しく追及されたが、寺田氏は「自分が管理する団体ではなく、チェックすべき立場にない」と責任逃れを続けた挙げ句、最後は一連の政治資金問題の責任を問われて大臣辞任に追い込まれた。
今年2月に発覚した滋賀県の生田邦夫・湖南市長のケースも松井氏とそっくりだ。生田氏が代表を務めていた政治団体「湖南市の明日を考える会」(2022年3月解散)の事務担当者が、会計責任者の同意を得ずに署名を代筆、捺印して政治資金収支報告書を提出していた問題で、京都新聞が報じた。