借金生活が続いている巨人。最下位中日との“直接対決”で3連敗を喫し、ゲーム差なしに迫られた。ウィークポイントはリーグワーストのチーム防御率4.26の投手陣だ。
打ち勝つ野球には限界がある。主軸を担い、リーグトップの7本塁打をマークしている中田翔が5月4日のヤクルト戦で走塁の際に負傷交代。都内の病院で右太もも裏肉離れと診断され、翌5日に登録抹消された。長期離脱の可能性があり、打線のパワーダウンは避けられない。
投手陣の台所事情は苦しい。先発で計算できるのは戸郷翔征と新外国人左腕のグリフィンのみ。開幕投手を務めたビーディは5試合登板で0勝4敗、山崎伊織、赤星優志、左ひじのクリーニング手術から復帰した高橋優貴もピリッとしない。かつてのエース・菅野智之も右肘の張りで開幕からファームでの調整が続いているというが、続報がなく、復帰はまだ先になるだろう。
巨人を取材するスポーツ紙記者は、こう漏らす。
「正直、優勝できる陣容ではない。先発だけでなく、中継ぎ陣も守護神・大勢につなぐ勝利の方程式が築けない。試合展開に関係なく、原辰徳監督は救援陣をつぎ込むので投手が疲弊している。この起用法では夏場まで持たない。昨季の二の舞ですよ。昨季は桑田真澄ファーム総監督が、原監督の投手酷使に異を唱えて選手を守っていたが、今のコーチ陣はイエスマンばかり。選手たちと首脳陣の間に距離を感じるのが気になります」
桑田氏は2021年に投手チーフコーチ補佐に就任。15年ぶりの古巣復帰は話題を呼んだ。働きぶりを認められ、昨季は投手チーフコーチに昇格したが、今季はファーム総監督に。事実上の更迭だったとみる声は少なくない。
「投手陣の成績が満足いくものでなく、2年連続V逸の責任を取らされた形だったが、高橋や山崎など桑田コーチの指導で能力を引き出された投手もいる。選手個々に合わせた指導法で、コミュニケーションを密に取っていた。自信を失っていた投手を励ましたり、それぞれの個性を褒める指導法が印象的でした。『自分の意見を持たなきゃだめだよ。どんどん主張して』『責任はオレが取るから思いっきり投げてこい』など声掛けして。理論派に見えるけど人間味にあふれていて熱い。投手陣の中には『桑田さんに1軍に戻ってきてほしい』という待望論が多い」(民放のテレビ関係者)