いま美容界、医療界で「NMN」という成分が大注目されている。アンチエイジングに大きな効果が期待でき、長寿遺伝子を活性化させるといわれており、美容や健康への関心が高い女性を中心に話題だというが、いったいどんなものなのか──。
頭がシャキーン だるさが一掃
「冷えやすい、肩がこりやすいなど、巡りが悪く、代謝が落ちていることを実感し、気になっていたNMNをついに飲み始めました!」
こうNMNのサプリメントを使い始めたことを美容雑誌のインタビューで明かしたのは、女優の坂井真紀(52才)。
美容家として絶大な信頼を寄せられる神崎恵(47才)もまた、NMNサプリメントをインナーケアとして取り入れていることを美の秘訣として発信しており、「なくなると心細くなる」ほどだという。
“美容オタク”として知られる女優・タレントのMEGUMI(41才)は月に1度のNMN点滴を「自分へのスペシャルケア」にしているそうで、「体の内側からうるおいが出てくる感じがして、肌がやわらかくもっちりとした質感に。透明感もUPするような気がします。また、頭がシャキーンと冴えて、だるさが一掃される感じも気持ちがいい」と絶賛。
美に精通する芸能人たちを虜にするNMNについてルネスクリニック日本橋院院長・平野敦之さんが解説する。
「NMNとはビタミンB3(ナイアシン)から作られる『ニコチンアミド・モノ・ヌクレオチド』という成分の略称で、これが体内に入るとNAD+(ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド、以下NAD)という物質に変換されます。NADは老化や病気の予防、体の不調の改善など、さまざまな効果を発揮することがわかってきている。このNADを体内で増やすため、NMNを摂取するのです」
NADの体内での働きについて、表参道メディカルクリニックグループ代表理事で医師の中崎育明さんはこう説明する。
「NADは『クエン酸回路』という、いわゆるエネルギーを作り出す体内の重要な回路で使われます。呼吸によって糖や脂肪酸などからエネルギーを作り、人の体を動かし、元気にする回路です。NADは使い回しができるので、NADが充分にあれば、継続的に体の中でエネルギーを作ることができます」
NADの摂取が必要なのは、加齢とともに減り続けていくからだ。
「10代後半から減少し始め、40才以上になると体内で生成される量はかなり少なくなってしまう。それがさまざまな体の不調につながります。
しかし、NADそのものを投与すると、火照りや体のだるさなどの副作用があるほか、分子量が大きいので必要な臓器に取り込まれにくいという面がある。そのため、前駆物質であるNMNを取り入れることが効果的なのです」(平野さん・以下同)