関脇・霧馬山の大関取りとともに、5月場所前から関係者の注目を集めたのが超大型新人「大の里」の初土俵だ。日体大時代に2年連続アマチュア横綱(全日本選手権優勝)など13のタイトルを獲得し、元横綱・稀勢の里が率いる二所ノ関部屋に入門した中村泰輝。5月場所で「大の里」の四股名で初土俵を踏む前から注目を集めてきた。若手親方が言う。
「あれはモノが違う。元横綱・白鵬の宮城野親方のもとで初場所に幕下15枚目格付出でデビュー後、1場所で十両に昇進した“令和の怪物”こと落合も霞んで見えます」
大の里は幕下10枚目格付出デビューのため1場所で十両中位、2場所で新入幕の可能性もある。
「193センチ、175キロの体格で、すでに三役クラスの実力とも。2月下旬の二所ノ関部屋への体験入門では、稀勢の里の弟弟子である大関経験者・高安が出稽古に来てぶつかり稽古の相手になったが、互角以上の内容だった」(担当記者)
幕下10枚目格付出で初土俵を踏める力士は限られる。アマ横綱、学生横綱、実業団横綱、国体横綱の4大タイトルのいずれかを獲れば幕下15枚目格、アマ横綱を含む2大会以上で優勝して幕下10枚目格となる(いずれかでベスト8以上は三段目最下位=100枚目格から)。
「強豪大学ではタイトルを分散して多くの部員に付出格デビューの資格を差配しているともいわれたが、2つ以上のタイトルを獲って幕下10枚目格でデビューするのは真の実力者のみ。現役の遠藤と御嶽海を含め、過去に3人しかいない。大の里は日体大3年時にアマ横綱、4年時に国体横綱を獲って8年ぶりの幕下10枚目格付出デビューが確定。さらに4年時の最後でアマ横綱連覇のおまけまでついたという超大物です」(協会関係者)
大相撲では日本出身横綱がいなくなって久しいが、大の里がその状況を変えるか。
※週刊ポスト2023年5月26日号