町民1300人の北海道の小さな町が、クマの出没で揺れている──。5月14日から北海道・幌加内町(ほろかないちょう)の朱鞠内湖(しゅまりないこ)で、釣りをしていた道内の男性(50代)が行方不明となっている。付近では釣り用の胴長靴をくわえたクマが目撃されており、男性の安否が危惧されている。
男性は14日午前5時頃からガイドのボートに乗って、1人で降りて北東側の湖畔で釣りをしていたという。約5時間後にガイドがボートで迎えに行くと、男性の姿はなかった。
「男性が釣りをしていた近くで、『胴長靴』と呼ばれる胸元まであるゴム製の防水ブーツを咥えたクマが目撃されています。男性のライフジャケットやリュックなどが残されていて、携帯電話は繋がらない状態だそうです」(地元紙記者)
幌加内町は北海道のなかでも人口が少ない町で、人口は約1300人ほど。町の北部にある日本最大の人造湖「朱鞠内湖」は深い自然に囲まれ、春先はワカサギ、GWから秋口までは淡水魚「イトウ」が生息しており、年中釣りが楽しめる人気釣りスポットだ。周辺にはキャンプ場や山菜採りもできて、道内外や海外からも多くの観光客が訪れる行楽地だが、クマの出没により、当面の間、《朱鞠内湖での渡船中止》《釣り禁止》《周辺キャンプ場の閉鎖》《山菜採取の自粛》などの規制がされた。
幌加内町では今年に入り、クマの出没情報が2件寄せられていた。1件目は約1か月前の4月20日(下幌加内地区)、2件目は4月29日(長留内地区)と、いずれも今回の朱鞠内湖とは数十キロ離れた場所だった。クマの出没について、幌加内町の産業課農林振興係に現在の状況を問い合わせた。
「町内では、警察、ハンター(猟友会)のほか、関係者に相談して駆除に向けた対策を組んでいます。昨夜から公道に注意を促す看板の設置、町民には注意喚起を呼び掛けていました。朱鞠内湖は山の中にありますので、防犯カメラなどにクマは写っておりません。クマの出没情報は例年並みですが、以前と比べると目撃数は多くなっています」
NEWSポストセブンが取材を進めると、今回の事態が発生する5日前から、男性が行方不明となった湖畔付近でクマの目撃情報が寄せられていたという。