ベルトは“緩め”がいい
運動はなかなかまとまった時間を取れないため、毎日の通勤時間を利用します。最寄りの一駅手前で乗り降りして、1日7000歩以上と数値目標を立てて歩いています。
スマートフォンの歩数計機能を使って記録しており、目標に届かなそうな日は後から多めに歩いて調整します。運動によって体を動かすと、一時的に血圧は上がりますが、同時に一酸化窒素(NO)が増産されて血管に新鮮な酸素や栄養分を行き渡らせるので、運動を継続することで動脈硬化予防になるうえ、血管拡張・血圧降下につながります。
座ったままの姿勢が続くと足の血流が悪くなり、心臓に戻っていくはずの血流が下肢の静脈に留まって血液が停滞し血圧が上がってしまいます。そこで重要なのが足を動かし、血行を良くすること。私も診察の合間に座りながら足を動かし、貧乏ゆすりならぬ「健康ゆすり」をよく実践します。
起床時にはベッドのなかで体をほぐしてからゆっくり起き上がること(急に体を起こすと交感神経が一気に緊張し血圧急上昇の原因となる)、外出着のベルトは緩めにすること(腹部を締めつけると末梢神経が圧迫されて血圧が上がる)なども実践しています。
就寝時の姿勢もポイントです。夜間の睡眠時無呼吸症候群は血圧上昇の大きな要因となるので、無呼吸になりにくい横向きの姿勢で寝るようにしています。睡眠時間はなるべく6時間程度を確保したいですが、論文執筆などで忙しいと3~4時間しか取れないことがあり、これは反省点です。
1年先、数年先に薬に頼らず正常な血圧を維持できるよう、生活を少しずつ現実的に改善することが、健康長寿に向けた策になると思います。
※週刊ポスト2023年5月26日号