世の中には「健康」に関する様々な情報が溢れているが、自分にとってどれが本当に良いのかを判断するのは難しい。そこで参考になるのが、その道のプロである医師の知見だ。健康診断のたびに気になる各数値。なかでも「血圧」は多くの人が気にするところだ。36年間にわたって携帯型の血圧計を(入浴時以外)装着し、自らの血圧を記録し続ける「ミスター血圧」こと渡辺尚彦医師が実践する健康法について教えてくれた。
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普段は上の血圧が120~130ですが、仕事や日常生活でストレスが高い状態が続くと、150くらいまで上昇することがあります。
実は私の父は高血圧を放置して褐色細胞腫という病気の発見が遅れ、その後悪化して亡くなっています。褐色細胞腫の約3~4割は遺伝によるもの(家族性腫瘍)とされますが、今のところ私自身に異常はありません。
高血圧患者の9割にあたる本態性高血圧は、遺伝的な素因と環境因子が複雑に絡み合って起こります。しかし高血圧家系の人でも、リスク因子の是正により改善は十分に可能です。
私自身は大きくわけて「食事」と「運動」の2点に力を入れて実践しています。
食事では、塩分をできるだけ控えています。例えばお刺身や寿司を食べる時は醤油を使わず、ワサビだけで食べるようにしています。ツーンと鼻にくるワサビの辛味成分は揮発性で、魚の生臭さを分解する働きがあり、マグロのトロやブリなど脂ののった魚はワサビ多めのほうが、風味がしっかり感じられます。
また私は日本酒をお猪口でちびちび飲むのが好きですが、ビールは飲み口の大きいジョッキではなく、瓶ビールを小さめのグラスで飲みます。冷たい飲み物を一気に流し込むと深部体温が急に下がり、血管が収縮して血圧上昇を招くからです。
最近は毎朝コップ1杯の無調整豆乳を飲むようにしています。カリウムやマグネシウムなどの栄養素が豊富なうえ、大豆に含まれる植物性タンパク質(大豆ペプチド)が血圧を上昇させる酵素の働きを阻害するからです。