東大医学部卒で医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師は、歳とともに高くなる血圧を下げるために歩行による運動を始めたが、その背景には自身の「家系」も影響していたという。上医師が自身が実践する健康法について語ってくれた。
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私は薬の服用は最低限にしながら、「歩く」ことを意識して、血圧をコントロールしています。そうしている理由は、家族が若くして亡くなった際の経過を振り返った結果、血圧が気になるからです。
私の父方の家系の男性は50歳を迎えることなく早死にすることが続いており、私が知る限り、血圧が高い家系であることは事実。例えば私が高校生の時に亡くなった父は、30代に1型糖尿病を患い、その後は合併症を起こして人工透析も受けました。糖尿病由来かは不明ですが、血圧も高かったのです。
母方の祖父は軍医でしたが、若くして脳卒中を起こし、朝、布団のなかで亡くなっていたそうです。
私も若い頃から比較的数値が高かったのですが、30代までは仕事に没頭していて、あまり気にしていませんでした。しかし、40代に入って健康診断で血圧が140を超えたことで気にするようになり、それから「歩く」ことに努めるようになりました。
2020年までは1日平均6500~8000歩でしたが、コロナ禍を経てグッと増え、いまは平均1万歩を超えています。
死亡リスクが減少
あえて歩く時間を作るのではなく、診療後に一駅分歩くなどの「ながら散歩」を実践しています。事務所での作業中、近所のカフェに場所を移せば、外を歩いて太陽の光を浴びることができます。日光浴は骨を丈夫に保つのに必要なビタミンDの生成にも役立ちます。
スマホやスマートウォッチなどで歩数が手軽に測れることも、歩くモチベーション維持に役立ちます。最近はオーディオブックで村上春樹の小説を聴きながら歩いています。そうした文明の利器は「ながら健康法」に向いていると思います。
血圧を下げるために「歩くこと」を選んだのは、高血圧には運動療法が効果的だと考えられているからです。