歳を重ねると、どうしても友人と疎遠になってしまうもの。ひとりでいるのは確かに気楽だが、楽しく幸せなひと時を共有できるかけがえのない友人がいてくれたら、どんなにいいだろうか──。『定年ちいぱっぱ』などの著書があるエッセイストの小川有里さんは、そう感じる人のために「仲間作り」から始めてみることをアドバイスする。
「『友達』はプライベートに踏み込みますが、『仲間』はより表面的で趣味などひとつの目的によってつながるため、家庭の事情には立ち入りません。私は60才を過ぎたら仲間だけでもいいと思います。趣味のクラブや山を歩こう会のような集まりに参加すれば仲間はできます。そこで馬の合う人がいれば、友達になれるかもしれません」
運よく友達になれそうな人を見つけたら、関係を長く維持するために努力することも必要だ。そのコツは「3つのS」にあると小川さんは話す。
「誠意、節度、信頼の3つを心がけて、大事につきあっていくことが大切です。もちろん友達にはプライベートを話すこともありますが、家やお金のことなど、重すぎる相談を持ちかけないことも心がけたい。安易に秘密を打ち明けることも相手に負担をかけるので避けるべきです」
3つのSを心に留めつつ、ほどよい距離感を持って連絡することも忘れずにいたい。
「スマホですぐにショートメールを送れる時代だからこそ、遠くの友人に月に1?2回電話をしたり、自筆の手紙やはがきを送ったりすることでお互い心が和み、関係を維持しやすくなります。年1回の年賀状だけでは意外と簡単に関係が消えていくので、あまり意味はないですね。ショートメールやLINEは手軽で便利なのでつい頻繁に連絡してしまいがちですが、“受け取ったらすぐ返す”となったら続けるのがしんどい。
義務や負担にならないよう、ゆったりしたペースで続けられる関係性が理想です」(小川さん)