厳然たる上下関係のもと、密室で繰り広げられていたのは、あられもない痴態だった──。歌舞伎俳優の市川猿之助(47才)によるセクハラ・パワハラ行為が浮かび上がってきた、いったい何があったというのだろうか。
「奮闘歌舞伎公演」の名にふさわしく、市川猿之助は舞台上を縦横無尽に立ち廻り、ワイヤーに吊られて舞う「宙乗り」には万雷の拍手が起きた。
明治座(東京・中央区)で5月3日にスタートした『市川猿之助奮闘歌舞伎公演』で、猿之助は演目の異なる昼夜の2公演に出演中だ(28日まで)。昼の部では、1979年に植田紳爾の作・演出で初演されて以来、今回が2度目となる「不死鳥よ 波濤を越えて ─平家物語異聞─」を上演している。
猿之助は、“不死鳥”をほうふつとさせる白い衣装に身を包み宙乗りするほか、歌唱も披露。夜の部では三代目猿之助(現・市川猿翁・83才)が1984年に明治座で初演した「御贔屓繋馬」を、約40年ぶりに上演し、クライマックスの大喜利所作事「蜘蛛の絲宿直噺」では、6役早替わりの変化舞踊で観客を圧倒した。舞台に立つだけでなく、昼夜ともに演出も猿之助自身が務めており、名実ともに「猿之助の公演」だ。
「300人ほどいる歌舞伎役者の中でも、自分の名前を前面に出して大きな興行を打てるのは、成田屋の市川團十郎(45才)や音羽屋の尾上菊之助(45才)などほんの一握り。澤瀉屋の中心である猿之助は、歌舞伎はもちろん、大河ドラマ『風林火山』(NHK、2007年)に武田信玄役でドラマ初出演を果たして以降、『半沢直樹』(TBS系、2020年)や『鎌倉殿の13人』(NHK、2022年)などの話題作にも出演経験があり、トップレベルの人気を誇ります。当然、集客力も折り紙付きで、いまの歌舞伎界の屋台骨を支える名優、トップスターと言っていい」(歌舞伎関係者)
さらに澤瀉屋は、「ワンピース歌舞伎」など新作歌舞伎にも積極的で、歌舞伎役者だけでなく、現代劇の俳優やアクション俳優など、幅広い役者たちを束ねる存在だ。しかし、澤瀉屋一門を引っ張る猿之助の行動に不安を覚える声が漏れてくる──。
「猿之助さんの舞台に立った経験を持つある役者は、猿之助さんとの“関係性”にかなり苦悩していました。たとえば、地方興行などの際、頻繁に猿之助さんのホテルの部屋に誘われ、お酒につきあわされていた。そればかりか“隣に寝なさい”と指示され、横になると布団の中に潜り込んできて、キスをされたり、身体を弄ばれたりと過剰な性的スキンシップをされるというのです」(劇場関係者)
拒絶という手段に訴えられないのは、一門で絶対的な力を持つリーダーの猿之助と、一門の弟子筋や俳優、スタッフの力関係に理由がある。
「師匠と弟子、座長と役者・裏方の関係は絶対で、無言の圧力のなかで、間違っても口答えしたりすることはできません。性被害に悩んだ役者も“がまんするしかない”と無言で耐えていたといいます。厳然たる上下関係を感じ、泣き寝入りするしかないんです。澤瀉屋周辺では、そうした猿之助さんの行動は知られた話で、周囲は、“今日は彼が腕枕要員だったんだな”という目で見るばかりだと言います」(前出・劇場関係者)
別の劇場関係者が続ける。
「劇場のスタッフが、猿之助さんからキスを求められたことがあったそうです。そのスタッフは猿之助さんの公演に携わってきていた人でしたが、キスを拒否した途端、次の公演から担当を外されてしまいました。それがキスを拒絶したことが理由なのかはわかりませんが、周囲はそう理解しています」