眞鍋雄太医師が認知症予防として実践している対策とは?
年齢を重ねると「あぁ、最近物忘れがひどくなったな」と感じる瞬間も増えてくるだろう。将来的な認知機能の低下を防ぐにはどうすべきか。認知症専門医の眞鍋雄太医師が、自ら実践している対策を紹介する。
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日常生活において認知症予防として実践して、患者さんにも勧めているのが「検索しない」という脳トレです。
私は48歳ですが、人の名前や本のタイトルを思い出せないことが増えています。医師として困るのが薬の名前が出てこないことで、たまに処方する薬は特に「ええっと、あれ、あの薬……」となりがちです(苦笑)。
今はネットで調べれば何でもすぐわかる時代ですが、認知症を防ぐためには敢えて検索せず、自力で思い出す努力をすることがポイントです。
脳の前頭葉はインプットした情報から物事を推察したり適切な行動を取ったり、思いを言葉にしたりする働きのある部位です。前頭葉がうまく働かないと認知症になりやすい。頑張って何かを思い出そうとする行為は前頭葉を働かせる絶好のトレーニングになります。
食生活も重要で、私はアジやサバ、イワシなどの光り物の魚を積極的に食べています。光り物に含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)には抗酸化作用があり、脳の神経細胞のサビ(活性酸素)を取ることが期待できます。
同時に納豆や大豆など良質なたんぱく質や、男性ホルモンを活性化して活力の源となる肉類を摂るなどバランスの取れた食事も効果的です。
「飲み会」は断わらない
認知症と関連する病気の予防も心がけたい。特にアルツハイマー型認知症は糖尿病を患っていると発症リスクが1.5倍になるとの統計があります。糖尿病になると末梢の血管障害が起きて脳梗塞などになりやすく、生成される活性酸素が認知症の原因物質とされるアミロイドβを作る引き金になります。このため食生活を改善して糖尿病を防ぐことが認知症予防につながります。
もちろん運動も重要で、「ちょっと息が上がるくらいのウォーキング」を15分行なえば、脳血管障害の予防に有効とされます。運動によって消費カロリーが上がると肥満防止や血流改善になり、脳の神経細胞に酸素を供給するため、糖尿病やその先にある認知症を防ぎます。私は忙しくて週2~3日しか実践できていませんが、脳を若返らせることが期待できるのでお勧めです。