結成16年以上の漫才師だけが出場資格を持つ新・漫才賞レース「THE SECOND~漫才トーナメント~」。当初、ベテラン芸人からは「やっと賞レースから解放されたのに……」との声も聞かれたが、ふたを開けてみれば133組が参加し、勝ち残った8組が5月20日放送のグランプリファイナルに進出する。新たなコンテストを立ち上げるに至った経緯と心境を、フジテレビのチーフプロデューサー・石川綾一氏と、総合演出・日置祐貴氏に尋ねた。(聞き手/ノンフィクションライター・中村計)【前後編の前編】
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──THE SECONDが他の賞レースと一線を画すのは、出場資格が「結成16年以上」という点です。あらゆるコンテストにおいて「以内」という制限はあっても「以上」という制限はあんまり聞いたことがありません。
石川:フジテレビとしても、吉本興業さんと協力して新たなお笑いの賞レースをやりたいねという話がずっとあったみたいなんです。それで、私の直属の上司(バラエティー制作センター部長・中嶋優一氏)が構想を練っていて、去年7月にその上司が部長に昇進したタイミングで、私がチーフプロデューサーとして引き継ぎました。ただ、個人的には先行する賞レース、M-1(グランプリ)やキングオブコントの邪魔になるような大会にはしたくないなという思いがありました。そうして総合演出の日置や吉本興業さんと議論する中で、ジャンルを漫才に限定し、結成16年以上のコンビに絞るという案に落ち着いたんです。そうすれば、どの大会とも出場者がかぶらないですよね。決勝の時期を5月にしたのも、他の賞レースと時期が重ならないようにという配慮からなんです。
──THE SECONDという大会名は「セカンドチャンス」という意味があるとのことですが、コンセプトありきというよりは、他の賞レースと共存共栄をはかるためにはそれしかなかったということでもあるんですね。
日置:大会名も「○-1グランプリ」というのはやめようね、と話していました。M-1やR-1とイメージがかぶってしまうので。
石川:大会名は悩みましたね。「大器晩成」から晩成をとって「BANSEI」とする案も気に入っていました。僕はABC(朝日放送)からの転職組ですし、日置も今こそ大エースですけど、バラエティー班の中ではAD期間がいちばんと言っていいぐらいに長かった。2人とも遅咲きだけに、その響きに思い入れがあった。けど、ちょっと人気が出なさそうだよね……と。「ラストタイトル」という案もありましたね。ただ、「ラスト」というのが引っかかった。もっと前向きなのがいいな、と。
日置:そこでセカンドチャンスという意味で「THE SECOND」に落ち着いたんです。